「家では食べない子どもが園では完食するんです!」――そんなママ達の声が聞こえてくる、おいしい給食で知られる新渡戸文化子ども園。ここで給食の先生として園児達へ献立を提供するのが、管理栄養士・鮑子奈緒美さんです。鮑子先生に、食の細い子でも食べられるようになる幼児食のポイントを聞きました。食が進まない子に給食を食べてもらう工夫から家庭でできる調理テクニックまで、今日から使える「子どもごはん」のコツが詰まっています。<基本編> <実践編>の2本でお送りします。
「食べない子」の食べない理由は十人十色
私、鮑子奈緒美は中野区の公立小学校で10年間栄養士を務めた後、この園に来ました。たくさんの子ども達と食を通じてつながってきましたし、毎日給食づくりが終われば昼食を食べる園児達の様子を教室へ見に行きます。そんな中で思うのは、「食の細い子」といっても、その特徴は様々であること。
食に興味が持てなくて食事中も他のことが気になってしまう。「食べなさい」「食べない子ね」などと大人から言われ続けることで食にマイナスのイメージを抱いてしまっている。お母さんの手作りしか受けつけず、初めてのものが食べられない。偏食で野菜嫌い。もともと体が小さく胃も小さい…。本当に一人ひとり違います。
ただ、どんなに食べることに消極的な子どもでも、よく食べられる日はあって。そんな日の園児は、私のいる給食室へやって来て「全部食べられたよ!」と本当にうれしそうな顔をして報告してくれます。食べることが得意でない子も、食べたい気持ちもあるのだと思います。人間の本能において食べることは抑えられないもの。何かきっかけさえあれば、食べられるようになると信じています。
では、なぜ食が進まない子が少なくないのでしょうか。