祖父母やベビーシッターは大きな戦力

 グアルデリアに預けると平均して月300ユーロの保育代がかかる。ただ働くママで3歳以下の子どもがいる場合には、月に100ユーロの援助(×12カ月)、もしくは1200ユーロの源泉徴収控除がある。また会社によってはグアルデリア代の20%は企業が負担する「チケット・グアルデリア」という制度を導入しているところもある。

チケット・グアルデリアがあると、20%は企業が負担(300ユーロ=会社負担60ユーロ+自己負担240ユーロ)
チケット・グアルデリアがあると、20%は企業が負担(300ユーロ=会社負担60ユーロ+自己負担240ユーロ)

 祖父母をはじめとする家族が近くに住んでいることが一般的で、彼らは大事な育児の戦力だ。家族だけで賄えないときは、ベビーシッターやクリーナーを雇う。時給は6~10ユーロと手ごろなため、経済的にも心理的にも外部のサービスを活用しやすい。共働きだからといって母親が一人で仕事も家事も育児も抱え込むことはない。

 それでも「そこまでして早くから職場に復帰する意味はあるのか?」とは、スペインのワーママに付きまとう問いだ。

 2児の母親でもある友人のクリス(仮名)も、その自問を繰り返した一人。第一子出産のときは、産後4カ月で職場復帰。子どもの送り迎えは義母が担当し、夜8時に義母宅に子どもを迎えに行く生活だった。義母に預けられない日は、ニニェラ(ベビーシッター)に頼んだ。その後第2子出産を機に半日勤務(9時半~14時半)ができる職場に転職し、現在は、朝夕の送り迎えは自分で、加えて夕方からは子どもと一緒に過ごす時間ができた。

 半日勤務にしたことで義母の負担やニニェラへの出費は無くなったが、給料も半分。給料は子ども2人のグアルデリア代と週2回のクリーナー代でほぼ消えてしまうという。それでも「一度仕事をやめたら次がないかもしれない」と働き続ける。

 「今は経済的な恩恵は少ないけれど、長期的に見て仕事をし続けるメリットのほうが大きいはず」と。現在のバレンシアではグアルデリアはほぼ全部が私立だが、3歳からは公立学校という選択肢もあるからだ。

バレンシア出身でない共働きの2人は家族が近くにいないため、月~木曜日はニニェラを雇う
バレンシア出身でない共働きの2人は家族が近くにいないため、月~木曜日はニニェラを雇う