ほったらかし調理を極めるなら、スープも家電に任せてしまおう!

 前回の記事で、「ほったらかし調理家電に主菜を任せてしまえば、使うコンロの口の数を減らすことができます」と書きました。しかし、さらに「ほったらかし調理」を進化させるのであれば、主菜だけでなく、汁物も任せてしまいましょうというのが、私の提案です。

──汁物ということは味噌汁やスープですか。

 そうです。スープや味噌汁をガスコンロで作るのではなく、スープメーカーで調理してみるのです。

 スープメーカーで汁物を作るには、材料と水を入れてスイッチを入れればOK。しかし、使い方を工夫すれば、だしをとって作る本格的な味噌汁を調理することもできます。それには、まずだしになる煮干しや昆布をスープメーカーに入れて砕きます。次に、味噌汁の具と水を入れて温めれば、おいしい味噌汁が完成します。

 スープメーカーには、ジューサーやミキサーに近いタイプと、フードプロセッサーに近いタイプがあります。今回ご紹介する「ビタリエ」と「らくっく」は、ジューサーに近いタイプ。スープだけでなく、ジュースを作ることもできます。「スープリーズ」(ゼンケン)の場合、ジュースは作れませんが、おかゆが作れます。また、「IHスーププロセッサー」(タイガー)の場合は、フードプロセッサーとして活用できます。ジュースがいいか、おかゆがいいか、フードプロセッサーがいいかは、そのご家庭によって違います。ご自身の家庭のスタイルに合わせて、最適なものを選んでくださいね。

「ビタリエ」(小泉精機)

 ボタン一つで「ポタージュ・スープ・おかゆ」が約30分で自動調理可能。ガラス容器なのでお手入れしやすく、清潔が維持しやすいのもメリット。少量調理ができる「ハーフ」モードや、好みの状態にできる「スープお好み」モードもあり、より便利になりました。

「らくっく」(エスキュービズム・エレクトリック)

 真空で調理するので、温度がすぐに高くなるのが特徴的。離乳期のお子さんがいるご家庭の場合、残りごはんで離乳食が作れるので重宝します。

■ IHスーププロセッサー(タイガー)

 フードプロセッサーとしても利用したいのであれば、このタイプがおすすめ。スープメーカーはもちろん、お子さんが小さいご家庭なら、離乳食メーカーとしても活躍します。デザインがスタイリッシュだから、そのまま食卓に置いてスープサーバーとしても使えるのもうれしいポイント。

──前回、今回と2回にわたって「ほったらかし調理家電」を取り上げましたが、改めて色々あることに驚きました。

 前回の記事でも言いましたが、こういった家電をご家庭に導入しても、決して「時短」にはなりません。調理する時間そのものは同じと感じることもあるかもしれません。ただ、調理中でもその場を離れて、別のことができるというのは大きなメリットです。おいしいごはんができるまでの時間を利用して、お子さんとのコミュニケーションタイムを確保することに、大きな意味があると思います。

 

調査会社にも聞きました

  販売動向からも新機軸の調理家電の好調な推移がうかがえます。対流を起こし熱風を循環させることで、短時間での調理を可能とする電気オーブンの2014年度の販売台数は前年度の約4倍を記録しました。コーヒーメーカー市場では、ボタンを押すだけで豆ひきから抽出までを自動で行う全自動タイプが構成比を拡大しています。また、ほったらかし訴求はシャトルシェフなど非家電においても注目が集まっているようです。

 ただし、一時的なヒットにとどまってしまう製品が多いのも事実です。例えば、電気フライヤーの販売台数は13年度に急伸したものの、14年度では前年度の約半数まで縮小しました。参入プレーヤー数や商品ラインナップ数の増加による認知度の拡大や継続使用を促す施策が求められています。

 一時的なヒットで終わらせないため、各社は「健康」や「おいしさ」など+αの訴求に力を入れています。現に、「健康」を訴求した製品は調理家電のみならず生活家電全般で好調に推移しています。

 毎年多くの新製品が登場し、消費者の目が肥えてきている現在、ほったらかし調理家電には 「ほったらかしておけて、かつ、自分で従来作れる範囲以上のものができる」といった+αの満足感が求められていると言えそうです。

 また、現在の店頭の訴求は「健康」「時短」が中心になっており、「ほったらかし」を訴求しているシーンはあまり見られません。「オーブン電子レンジ」や「電気フライヤー」「IHクッキングヒーター」などは、従来の「健康」や「安全」のみならず、「ほったらかし」を強く訴求することで、需要が喚起される可能性は高いと思われます。

(ジーエフケーマーケティングサービスジャパンの加藤俊平さん)

(解説/戸井田園子 取材・文/井上真花)

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