共働き世帯の関心が高い“マネー”の話。10月の第一特集では、このマネーをテーマに取り上げます。まずは、読者の中に多い世帯を働き方により6つのタイプに分け、それぞれの特徴により、人生のどの辺りで何に気を付けなければいけないか、そして、何歳ごろ何に気を付けておけば、子どもの教育費や自分達の老後の生活費に困ることがなくなるかを専門家に聞きます。

【ダブルインカム 最強の貯め方・使い方特集】
第1回 典型的な共働き世帯 老後費用は意外と少なく危機 ←今回はココ
第2回 共働き高齢出産や夫独立 家計で注意が山ほどある
第3回 教育費 30代後半出産は支出過多で後ずれリスク
第4回 「レジャー費を貯蓄から出す」習慣は撲滅すべき
第5回 介護費用 同じ共働き世帯でも実家の経済力で激変
第6回 典型的な共働き世帯がお金を増やせる「3つの方法」

あなたの世帯はどのタイプ?

 仕事や育児で目の前のことに集中してしまいがちな共働き世帯。「2人で仕事をしているんだから、今のペースで貯金をしておけば、夫婦が退職したら悠々自適な生活ができるんだよね……?」と何となく思ってはいませんか? 実はしっかりと計画的に準備をしておかなければ、後になって取り返しのつかないことになる場合もあります。

 今回の特集では、DUAL読者に多い世帯を6つのタイプに分け、それぞれのライフプランシートをFP法人ガイアのプライベートFP(ファイナンシャル・プランナー)新屋真摘さんに作成してもらいました。

 そのタイプとは、年収や出産年齢などの条件が平均的なDUAL読者に近い「典型共働き(デュアラー)タイプ」、収入が高い「高収入タイプ」、出産年齢が高い「高齢出産タイプ」、夫が会社を辞めて独立している「夫・独立タイプ」、妻が退職して現在はパートをしている「退職妻パートタイプ」、実家が財政的に力不足で住宅購入時などの支援がない「実家力不足タイプ」です。

 「わが家は典型共働きタイプだ」「高収入と高齢出産の組み合わせかな」などと、ご自分のケースを探してみてください。

 第1回では「典型共働きタイプ」の注意点について、新屋さんに解説してもらいます。(本記事内のコメントはすべて新屋さんによる)

一見余裕がありそうだが、老後のゆとりは思ったほどない

 「典型共働きタイプ」は夫婦同い年。36歳時の世帯年収が800万円(夫500万円・手取り400万円、妻300万円・手取り250万円で世帯の手取り収入が650万円)。年間支出が552万円で、子どもが2人いる世帯です(妻は32歳と35歳のときに出産)。※ 試算条件の詳細は記事末を参照。

 上図の通り、夫婦ともに53~54歳のとき、つまり子ども2人が同時に大学に通う2年間は収支が逆転します。貯蓄も減り、単年赤字が続きます。

 新屋さんによると「この単年赤字はどんな家庭においても起こり得ます。この期間がやってくることを事前に理解して、早めに準備ができていれば、その時になって慌てることがありません」

 典型共働きタイプは、第一子が高校を卒業する49歳まで、ほぼ一定のペースで年間100万円ほどが手元に残ります。年間100万円というと、月にすると8万円前後です。「今週は仕事を頑張ったから、週末は外食しよう」「かわいい洋服を見つけたから子どもに買っておこう」と小さな1万円が積み重なり、ついつい手元のお金を使ってしまいがちです。「この出費のしわ寄せが老後にきてしまうので要注意です」と新屋さんは指摘します。

 次ページから、典型共働きタイプの退職後に迫ります。