お金を増やす方法は「節約・投資・収入アップ」の3つしかない

 「お金を増やすには『① 家計の節約』『② 資産運用(投資)』『③ 仕事で収入を上げる』の3つしか方法はありません」と、新屋さん。典型共働きタイプの場合も、収支はうまくいっているように見えるので、「ちょっとずつ節約すれば大丈夫だろう」と安易に考えてしまいがちだといいます。ところが、上述のように様々な“+α”の支出が想定されます。

 「若いころから『お金にも働いてもらう』という考え方を持って長期でリスクを分散して資産形成しておけると、老後にもゆとりができるでしょう」

【お金を増やす3つの方法】

1) 家計の節約… 固定費を抑えるために、住居費などを下げるなど
2) 資産運用(投資)… 投資信託の積み立てを検討するなど
3) 収入を上げる… 資格取得でキャリアアップ、副業を始める、現役で長期間働くなど

 ここまでの話を踏まえて、改めて整理しましょう。

【典型共働きタイプのマネー戦略】

<ポイント①> 49歳までの貯め時に注目!

 第一子が高校を卒業する49歳まではほぼ一定のペースで年間100万円が手元に残ります。定期預金の自動積み立てや生命保険、投信積み立てなど金融商品を賢く利用し、ここでしっかりと先取り貯蓄をしておくことが大切です。

<ポイント②> 生活費から捻出した5万円を“ゆとり費用”に

 現役のうちは生活費を25万円から20万円までに抑え、そこで捻出した5万円を12カ月分、合計すると60万円を毎年の“ゆとり費用”として予算立てできるとよいでしょう。そのうち半分の30万円を旅行や帰省に使い、もう半分の30万円をその他の臨時支出や“頑張ったご褒美のお楽しみ費用”のために取っておければ安心ですね。ただし、この30万円も12カ月で割るとたったの2.5万円。一回外食して、一枚服を買ったら使い切ってしまう額です。意識して、無計画な出費を無くす必要があります。

 次回からは、「退職後のお金」「教育費」「レジャー(車・旅行・服など)費」「親の介護費用」「お金の増やし方・使い方」それぞれについて、特に注意しておきたいタイプと注意すべきポイントについて、順に解説していきます。

※ 図版の試算の前提は以下の通り。
1. 夫婦ともに36歳(子4歳、1歳)スタート
2. 夫のみ50歳まで毎年1%ずつ昇給を見込む
3. 35歳で4500万円のマンションを購入し、3700万円の35年ローンを組む(実家から300万円の支援あり)
4. 子どもの進学は高校まで公立で大学が私立文系を想定
5. 生活費は25万円/月(医療費・保険料含む)、インフレや子どもの成長に対する支出増を見込んで年に1%ずつ上げている
6. 受け取る年金は、夫(15万円/月)、妻(11万円/月)を65歳からとする。夫は60歳までは通常勤務とし、65歳まで嘱託で働く。妻は60歳で退職すると仮定
7. 退職金は夫(1200万円)、妻(500万円)を想定
8. 36歳時点の貯蓄額は300万円(住宅購入直後のため)
9. 上の子どもが29歳、下の子どもは26歳に、親元から独立。(その分、親世帯の生活費は年間80万円削減される)

新屋 真摘(しんや まつみ)

FP法人ガイア・プライベートFP。CFP認定者。大手生命保険会社を経て、「正しいマネーセンスを身につけて、お金に振り回されない人生を送ってもらうためのお手伝いがしたい」という想いからファイナンシャルプランナーを目指す。2005年、独立系FP会社の立ち上げから参画し、資産運用、保険の見直し、住宅ローンなどの個人相談業務に注力。2014年、お客様とより近い距離での提案や実行支援ができるGAIAの考え方に共感しFP法人ガイアに入社。現在に至る。

(ライター/西山美紀、撮影/鈴木愛子、図デザイン/Coccoto 鈴木裕美子)