このままでは「退職後」のゆとりがあまりない

 典型共働きタイプの退職後はどうなるのでしょう? 貯蓄額を見てみると、61歳で約3700万円、66歳で約2700万円となっていて、一見ゆとりがあるように思えます。「リタイア後は時間もあるし、旅行にたくさん行こう」と思う方も多いでしょうが、ここは要注意です。

 「退職後、夫婦の生活費が月に25万円かかると想定した場合、61歳から85歳までの25年間に7500万円が必要になります。61歳以降、住宅ローンの支払いが残っていることも考えると、年金で6200万円がカバーされたとしても、正直『旅行は年に1回(30万円程度)行けるかどうか……』といったところです」

 さらに、自宅のリフォームや孫への援助、海外旅行なども気になるでしょう。「せっかくリタイアして時間ができたのに、お金が心配で何もできない……」となってしまっては、残念です。そうならないためにも、若いころから少しでも“老後のゆとり分”を貯蓄しておけるとよいと新屋さんは助言します。

大学進学費用は、子どもが小さいうちから準備

 次に気になるのが、教育費です。

 「子どもが高校生までの教育費は、貯蓄を取り崩すことなく、月々の“生活費”の一部として捉えてください」。そして、大学入学にかかる費用を、子どもが小さいうちから、保険や運用などによって積み立てるなどしておくとよいと新屋さんは話します。

 詳しくは、次回以降の特集記事でお伝えしますが、今回の計算では、一般的に想定される学費(授業料、校外活動費)は含んでいますが、民間学童代、中学校から私立に進学する場合の塾代、学費、その後の留学費用、大学院進学費用など、子どもの選択肢を更に増やす場合の費用は含んでいません。

 しかし、今日では、中学受験を考える子ども達の多くは小学4年生辺りから塾に通い始めます。その塾代などを含めて計算すると、年間100万円あるはずの“余裕資金”はあまり手元に残らなくなってしまいます。

 「受験塾に通わせたり、中学校から私立に進学させたりする可能性がある場合は、子どもが小さいうちから、さらに上乗せして教育資金を準備しておく必要があります」

 では、気になるレジャー費はどうでしょう?