安全かどうかは「人通り」ではなく「景色」で見分ける

 どんなに「怪しい人に気をつけて」と注意したとしても子どもが騙されてしまうとしたら、親はどうすればいいのでしょうか。そこで小宮教授が強調するのが「人ではなく景色に注目すること」です。

「ぜひ、子ども達には『人を見るのではなく、景色を見ること』と教えてあげてください。人を見たら絶対に子どもは騙されます。なぜなら人は嘘をつく、人を騙すものだからです。一方、景色は嘘をつきません。これから子どもが大きくなって、スマホを見ながらぼんやり歩く機会があるかもしれません。そんな注意力散漫な状態で街を歩くのは非常に危ない。ぜひスマホではなく、景色を見るように伝えてください」

 小宮教授によれば「景色はそこが危険なのか安全なのか、私達にしっかりとメッセージを発している」そうです。「ただ、訓練をしないとそのメッセージは見逃してしまいますね。正しい景色の見方を学んで、景色を解読していくことが大事なんです」

 ここまでしっかりと講義を受けたところで、参加者は、建設中のマンションへ移動。小宮教授と立正大学犯罪社会学研究会の2名の指導の下、マンション周辺を歩いてみることにします。景色が発しているメッセージの受け取り方を学び、その結果を基に「地域安全マップ」を作るのです。

 これから同じマンションに住む人同士で、パパチーム、ママチーム2班に分かれます。初対面の人達が組んだチーム、しかも小さな子どもがいる状況で、マップ作りはうまくいくのでしょうか。ところが、実際に街に出てみると、小さな子ども達が意外な活躍を見せるのです。

イベントの後半では、パパチームとママチームに分かれ、親子で実際に街へ。その様子は後編で
イベントの後半では、パパチームとママチームに分かれ、親子で実際に街へ。その様子は後編で

取材・文/小沼理(かみゆ) 写真/中島明菜