「なければいい」と思う負の感情も、あなたを守るために存在している
前回の「DUAL親子は「疲れ」を自覚しづらくなっている」では、DUAL親子は親も子も、互いにとって「目に見えにくい疲労」がたまっていること、そして、その疲労に対処できていないことがストレスをますます膨らませる要因になっている、というお話をしました。
今回は、その疲れとも大変関係が深い「感情」について考えてみましょう。
さて、ここ数時間のあなたの感情は、どんなふうでしたか?
こんなふうに、何でもないように見える一日の中でも、あなた自身は様々な感情にさらされているものです。
怒り、後悔、不安、落ち込みなどはどれも、極力、自分の心からはよけておきたい、ネガティブな感情だと思うでしょう。でも、感情のなかで「意味がない」「存在しないほうがいい」ものなどはなく、どんな感情であってもあなた自身を守るべく発動されているものである、と、私は考えています。
例えば、上記の例から解説してみましょう。
怒りは、あなたが何らかの被害を受けている(受けそう)という危機感によって発動します。これ以上自分に危害が加わらないように、相手に対して「強さ」を示し、威嚇するのです。そして怒りの勢いは、相手をやり込め、「相手がもう攻撃しないだろうな」とこちらが感じるまで収まりません。子どもが泣いていても、「本当に分かったの!」とついつ怒り続けてしまうことがあります。こんなときには、あなた自身の「もうお母さんをこれ以上困らせないで」と言う叫びがこもっているのです。
後悔は、あなたが子どもを怒鳴ってしまったという事実について「それでいいのか?」とあなたに繰り返し考えさせます。ただ、この感情は、「次はこんなふうにしてみよう」とやり方を改善するための原動力にもなりえる力を持っています。
不安は、未来に対して「何か大きな失敗をするのではないか」「相手から攻撃されるのではないか」と本能が捉え、「何か事前に対策を取っておけ」とあなた自身にメッセージを送っている状態とも言えます。
そして落ち込みは、今、ストレスによってエネルギーを消耗しているあなたに「これ以上エネルギーを消費せず、今は休んでおけ」と訴えかける感情、と捉えることができます。
疲れると、感情はコントロールが難しくなる
楽しい、うれしい、といったポジティブな感情とは違って、腹が立ったり落ち込んだりする「負」の感情は、このようにあなたを守ろうとする一面も持っています。しかし、やはり気分の良い感情ではありません。
だから、私達の心には、感情がいつまでも暴走しないように、その勢いを抑え込もうとするブレーキが働く、という仕組みがあります。
それは、何だと思いますか?