歯並びやかみ合わせの問題は、見た目の印象を左右するだけではなく、虫歯ができやすくなったり、顎の発達や発音、かむ力にも影響を与えます。最近では、歯並びの重要性が認識されるようになり、子どものうちから歯列矯正を行う子どもが増えています。
 前回に引き続き、小児歯科専門医の歯科医師に「矯正の必要性の有無」や「治療の流れ」についてお聞きしました。また、記事の後半では、矯正治療中の子どもを持つ読者の体験談をお届けします。ぜひ参考になさってください。

【子どもの虫歯、歯列矯正特集】
(1)75%が仕上げ磨きを実践 嫌がる子にどう歯磨き?
(2)一生の虫歯リスクは3歳までに決まる<乳歯編>
(3)虫歯の2大要因は「清掃不良」と「ダラダラ食べ」<永久歯編>
(4)歯列矯正「3・6・8歳」で歯並びチェックを ←今回はココ
(5)子どもの歯列矯正、病院選びのポイントと費用の相場

低年齢のうちから矯正を行うメリット、デメリット

 日本人は歯並びに問題がある人のほうが多いと言われています。子どものうちから歯列矯正を始めるメリット、デメリットとは一体何でしょうか?

メリット
● 顎の大きさを広げるなど、骨格的なバランスを改善できるチャンスが増える
● 機能的な改善(正しいかみ方・正しい舌の位置・鼻呼吸の習慣づけ)は早い時期から行うほうが定着しやすい
● 骨格が軟らかいので歯を動かすのが比較的容易

デメリット
● 自己管理が大変(虫歯予防、矯正器具の管理、適切な使用法など)
● 大人の歯列矯正よりも時間がかかる傾向がある
● 将来的な歯並びを予測しながらの治療になるため、不確定な部分もある

 歯列不正(乱ぐい歯)には、主に2つの要素があります。

① 歯が大き過ぎる
② 顎が狭過ぎる 
③ ①と②の両方

 ②が原因のことが多いので、早い時期から治療をスタートすれば、顎を広げる治療が有効になります。顎の成長は12歳くらいでおおかた決まるため、それ以降に治療を始めると、顎のサイズに合わせて抜歯をしなければなりません。低年齢のうちから矯正を行うメリットは、より自然な形で歯並びを整えることができることです。

 では、実際に矯正の必要性の有無は、どのタイミングで判断したらいいのでしょうか?

<次ページからの内容>
● 何歳ごろからどんな矯正治療ができる?
● 矯正が必要性かどうかは何で判断すればいい?
● 実際に矯正を開始するまでの流れ
● 料金の相場はどのくらい?
● 参考になる読者4人の体験談