このコラムは、人材育成コンサルタント・キャリアアドバイザーで2人の男児の母でもある河野真理子さんが、妊娠した新米プレママの皆さんのために、仕事・家庭・出産後の復帰への準備……「働きながら母になる」ために大切なことを解説する連載です。

 出産予定日が近づいたら、退院した後の生活についても考えておきましょう。実家に里帰りする、という人も多いかもしれませんが、両親が高齢、実家が遠いなど様々な理由により自宅で育児をスタートする、という人も増えています。また、1カ月程度、実家に里帰りしたとしても、その後は赤ちゃんと2人で育児をする日々が待っています。

 退院後しばらくは、昼夜を問わず授乳や赤ちゃんのお世話に追われ、その他のことにはなかなか手が回りません。産後は体調も万全ではないので、料理、洗濯、掃除、赤ちゃんのお風呂、自分がお風呂に入っている間や買い物に行く間の子守り役、また集金や配達など、日々の突発的訪問者への対応などについては、他の人からのサポートを得たいもの。また、日中「話し相手もなく」一人きりで慣れない赤ちゃんのお世話だけをする毎日が続き、心身共に疲れ切ってしまう…といったこともあります。

 体調にもよりますが、少なくとも、1カ月健診を受けるまでの間は、平日の昼間だけ、あるいは2日に1度だけでも実母や義母などの家族や親族に来てもらい、家事や買い物、料理の作り置きをしてもらうなどのサポートを受けられるようにしましょう。

 また、夫が育休を取得できるのであれば、この時期に取ってもらってサポートしてもらうのもいいかもしれません。その場合は、ただ家にいてもらうだけではなく、どんなふうにサポートをしてもらいたいか、具体的によく話し合っておきましょう。

身内に手伝ってもらう難しさもある

 とはいえ、親や兄弟姉妹などの家族や親せきなど、身内に手伝ってもらうことの難しさもあります。実母でも義母でも、家事のやり方が違ったり、子育てについての考え方が異なったりすることで、関係にひびが入ってしまうことがあるからです。

 よくあるのが、自分は母乳育児をしたいのに、ミルクを飲ませようとしてケンカになる、ずっと抱っこしていたら、抱き癖がつくと言われた、などといったことです。また、好意で手伝ってもらっているだけに、嫌なことを嫌だと言いにくい、遠慮があって頼みにくい、といったこともあります。

 関係がこじれてしまいそうであれば、早めに「もう大丈夫です」と、サポートしてもらう頻度を減らすなどして、適度な距離が保てるよう工夫しましょう。

祖父母に手伝ってもらうことの良さ

 ただ、親や親族にサポートしてもらうことの良さもあります。一番の良さは、子育てを手伝ってもらう中で、孫と祖父母など、赤ちゃんとの関係づくりができるという点にあります。

 祖父母にとっては、生まれたばかりの孫と接することで、愛情、愛着も増しますし、それは子どもにとっても良いことです。祖父母と孫など、赤ちゃんとの関係が良好であれば、職場復帰した後も、「かわいい○○ちゃんのためだから」と、協力を得られやすくなります。そうしたことも考えると、多少の行き違いはあっても、いい関係を築いていけるよう、うまくコミュニケーションを取っていきたいものです。

 いずれにしても、身内からのサポートを当然と思わず、「助かっています」「ありがとうございます」と常に口に出すようにし、お礼として贈り物をするなど、感謝の気持ちを忘れずにいることが大切です。