6年生になると、みんな頑張り始める。だから、逆転が難しくなる

 春休みが終わって6年生になると、小学校では最高学年となり、次第に自分が受験生であることを自覚するようになります。「すると、みんな頑張り始めて、少々の努力では逆転が難しくなる」と小川先生は言います。

 「だからこそ、その前の春休みの間に、今後どういう学習をしていくのか見通しを立てておくことが大事になります。4月以降のカリキュラムを頭に入れて、テキストに一通り目を通し、どんなことをどのレベルで学習していくのかを見ていきましょう。それをするかしないかでも、確実に差が出ます」

 「塾でのクラスを上げたいのなら、新6年生の春が最後のチャンスだと思っておきましょう。4月以降はみんなも必死になって勉強するので、順位を上げることがどんどん難しくなります。こうしたことを意識し、その対策が取れるかどうかで、その後の受験が変わってくると言ってもいいでしょう」

よその子と比較するのではなく、わが子にとってのベストを考える

小川大介先生
小川大介先生

 6年生になると、それまで勉強に集中していなかった子が急に真剣になり、みるみるうちに成績を上げることがあります。特に男の子に多いケースです。

 「そんな子を見て『あなたももっと頑張りなさい!』と自分のお子さんに発破をかける親御さんがときどきいらっしゃいますが、それはやめてください。意識が急激に変わるのは、思春期との関わりも考えられます。たまたま受験期によい方向へ成長する子もいますが、誰もがそうなるわけではありません」

 「特に、お母さんにとっては女の子は同性だということもあって、なんとなく成長度合いが分かる部分もあると思いますが、男の子は異性。女の子よりは分からないことが多いのではないでしょうか。男の子は一般的に、女の子よりも成長の振れ幅が大きく、外から見ていると理解できないことも多いものです。ですから、よその子と比較することは意味のないことです」

 もし、この時期に成績が上がらず心配になったら、ご自分のお子さんも含め「みんな頑張っているんだ」ということをまずは心に受け止めましょう。その上で、勉強のやり方を間違っているために成績が上がらない可能性も考えて、塾や中学受験の専門指導者に相談し、早めに対策をしてください。大事なのはわが子にとってのベストとは何かと考えることです。

 次回は、大手受験塾に通う新4・5年生にとっての、理想の春休みの過ごし方について解説します。

(撮影/鈴木愛子)