入試当日を“イメトレ”すれば、本番も慌てずに臨める

 大人でも試験や発表会など、何か結果や成果を出さなければならないときというのは、緊張するものです。まして、中学受験に挑むのは、わずか12歳の子どもです。大人のように経験があるわけでもないので、当日どのような状態になるのか、親も本人も予想がつきません。

 そこで、西村先生がこんなアドバイスをしてくれました。

 「入試前日までにぜひ数回、当日の自分をイメージしてみてください」

 例えば、朝起きて、顔を洗って、リビングで計算問題を解き、新聞の社説欄を読んでから、朝食を食べる自分。

 家を出てから駅まで歩き、混雑した電車に乗って、学校の最寄り駅から学校に向かう。校門で待っている塾の先生達と周りの受験生の顔。

 付き添いのお母さんと別れ、試験会場に入り、トイレに行く自分。

 席で待機していると試験開始の時間が来て、問題が配られ、「はい、始め!」という合図を聞き、受験番号と名前を書く自分。周りから聞こえてくる鉛筆のカツカツという音……。

 問題を一通り見て、どういう順番で取りかかるか判断するのに30秒。そして、ゆっくり丁寧に解いていく自分。

 「このように、その日の自分をイメージしておくと、案外落ち着けるものです」

 「もし、それをせずに当日を迎えたら、受験会場の最寄り駅でたくさんの受験生を見ただけで、ドキドキしてしまうかもしれませんし、中学受験ではお約束の“塾の先生達による見送り”も、かえってプレッシャーに感じてしまうかもしれません。それを楽しむまではいかないにしても、『いよいよ本番を迎えるんだなぁ~』とどこか一歩引いて冷静になれると、落ち着いて試験に臨めます」

 ところで、受験当日も「朝の勉強」は必要なのでしょうか?

 「頭を働かせるためにはやっておくとよいですね。また、その日に初めて見る文章が、入試本番の問題ではないほうがよいでしょう。勉強するというよりは、『頭のウォーミングアップをする』という気持ちで取り組むことをおすすめします」

 この記事で紹介したことを試してみてください。きっと落ち着いて試験当日を迎えることができるでしょう。

(撮影/鈴木愛子)