全問正解を狙うのではなく、“合格するための戦略”で乗り切る

 直前期になると、「できていないこと」が気になるものです。

 「でも、今は“自分の苦手分野”に目を向けてはいけません」と西村先生。

 「苦手分野の克服は11月までと割り切り、12月からは4教科全体のバランスを整え、確実に点数が取れる学習へとシフトチェンジしましょう。中学受験では満点で合格する子はほとんどいません。1~2点の差が合否を決めるのです。ですから、この時期からは、解けるか解けないか分からないような難問や、時間がかかってしまいそうな苦手分野は『捨てる』覚悟も必要になってきます」

 「得意な分野では確実に点数を取る。正解すべき基本問題は、正答率を高める。このときに気をつけたいのが、得意な分野の問題ほど本番でミスをするケースが多いこと。子どもは『分かった!』と思った瞬間から、速く解こうとします。しかし、この『分かる問題』こそ落ち着いて取り組み、確実に点を取る必要があるのです。こうした点にも、意識を向けることが大事です」

 また、「合格するためには、戦略も必要です」と西村先生。

 「『テスト用紙が配られたら、まずどこから見るか?』『どの問題から先に解いていくか?』など、自分なりの戦略を立てておくことをおすすめします。試験中は緊張が高まり、どんなに心が強い子でも、普段通りにはいかないものです。ですから、本番で慌てることがないように、自分なりのルールを作っておくといいでしょう」

 「特に試験の終了時間までの「ラスト10分」とどう向き合うかは、合否を大きく左右します。『とにかく埋めなきゃ!』と突っ走ってしまうと、問題を解くのが雑になり、正解できるはずの問題を間違えてしまう、なんてこともあります。ラスト10分は、あと5点積み上げる気持ちで、1問1問を丁寧に解き、確実に正解できるようにしましょう」

 「最後の1分になったら、選択問題の空欄はとにかく埋めること。迷ったら、とりあえず『ウ』と書いておくなど、ここはあまり深く考えず、空欄を残さないことに徹していいと思います」