やる気を空回りさせてしまっているか、自信をなくしているか

 「この時期、子どもの心は大きく二つの危険をはらんでいます。一つは『絶対に合格するぞー!』という、やる気の空回り。もう一つは『どうせ、今さら頑張っても……』という自信の喪失です」

 「『やる気の空回り』は、心が強い子が陥りがちな状態で、やる気を出すこと自体はとてもよいのですが、『たくさん勉強するのがよいことだ』と勘違いをしてしまう危険性があります。この時期の学習は“量”よりも“質”が大切です。問題をたくさん解くことよりも『なぜそうなるのか?』『この問題は何が分かれば解けるのか?』などと自問自答をしながら、じっくり問題に向かう姿勢を意識させましょう」

 「『自信をなくしている子』へのフォローは、まずは親が声かけの内容に気をつけること。入試の直前なのにやる気を持てないわが子を見て、『そんなのでは合格できないわよ!』とつい言いたくなってしまう親御さんの気持ちも分かりますが、今この時期に発破をかけても何の意味もありません。むしろ、子どものやる気を奪うだけです」

 「けれども、この声かけの内容を少し変えるだけで、現状を変えることができます。例えば、直前期になってもエンジンがかからない子には『今からでも大丈夫よ』『これからが勝負よ』と言ってあげるだけで、子どもの気持ちは前向きになるのです」

 小学6年生は12月のテストを最後に、本番まで約1カ月半の間、合否の判断に使える材料が何もない中で、最後の追い込みへと入っていきます。手応えがない中で勉強をしていると、時に不安になりますが、そんなときこそいつもそばで見ている親御さんの言葉が響いてきます。

 「この時期は『頑張れ!』と叱咤激励をするのではなく、『毎日、頑張っているね』と日々の頑張りを認めてあげることが、子どもにとっては何よりの励ましになります」