中学受験をする予定の小学6年生にとって、秋はいよいよ志望校特訓が始まる季節です。志望校特訓の受講資格は夏の終わりに決まるので、7月にはおおよその第一志望校が決まっているはずです。では、併願校はいつごろに決めるものなのでしょうか? 中学受験に詳しい西村則康先生に聞きました。

併願校を決めるのは、6年生の9~12月初旬がリミット

 6年生の9月に入ると、各塾では毎月1回、志望校の合否を判定する合否判定テストを実施します。合否判定テストは9~12月に合計4回実施され、その結果を基に第一志望校を受験するか否か、併願校をどこにするかなどを決めていきます。

 「併願校の過去問に取り組むタイミングは、10月からというのが理想です。それを考えると併願校は9~10月には決めておいたほうがいいでしょう。また、女子校を受験する際には、学校からの調査書(成績や欠席履歴などが書かれたもの)が必要になることが多く、小学校では冬休み中に先生がそれを作成するので、どんなに遅くても12月初旬には決めておきたいものです」

【併願校を決めるポイント:その1】  その学校はわが子に本当に合っている?

西村則康先生
西村則康先生

 では、併願校を決める際には、どんな点に注意をしたらよいのでしょうか?

 「併願校というと、万が一のときのおさえの学校という位置付けになりますが、だからといっていい加減な気持ちで決めてはいけません。なぜなら、中学受験で第一志望校に行ける子は全体の約3分の1で、残りの多くはそれ以外の学校へ入学することになるからです」

 「ですから、併願校を選ぶときは『もしかすると、うちの子がこの学校に通うことになるかもしれない』ということを念頭に置き、学校説明会や文化祭など最低でも2回は訪れるようにしましょう。そして、その学校がわが子に合っているかをよく見極めることです」

 「例えば、登下校の列に交じり、その学校の生徒がどんな服装でどんな会話をしているのか聞いてみるとよいでしょう。そのとき、違和感を覚えたら、もしかするとあなたのお子さんには合わない学校かもしれません。子ども本人の希望とわが子をよく知る親御さんが感じたことを照らし合わせ、親子で話し合って決めるとよいでしょう」

 「よく併願校を偏差値だけで決める家庭がありますが、それは絶対におすすめしません。校風もよく知らずに受験をし、入ってから『こんなはずじゃなかった……』というギャップに苦しまないように、納得のいく併願校選びをしましょう」

【併願校を決めるポイント:その2】 入試傾向が近い学校を選び、効率よく学ぶ

 併願校として、気になる学校がいくつか挙がったら、その学校の入試問題を見てみましょう。ひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の中身は様々です。選択問題が多い学校、記述問題が多い学校、スピードを求める学校など、その中身が異なれば対策も違ってきます。

 「中学受験の入試範囲は膨大です。中学受験では、第一志望校から“おさえ校”まで、一人あたり平均約5校を受験します。もしその5校の入試問題の傾向がまったく違っていたら、それぞれに対策を取らなければならず、勉強量をさらに増やすことになります」

 「また入試問題の傾向が違うということは、頭の使い方も違ってくるので、その切り替えも大変です。ですから併願校は、第一志望校と入試問題の傾向が同じ学校を選ぶようにしましょう」

 「このときに気をつけてほしいのが、入試傾向が同じ学校なら校風も同じであると勘違いしないこと。併願校の選び方として望ましいのは、まずはその学校へ行ってみて、『通いたい』と思うか確認すること。そして、第一志望校と入試問題の傾向が似ていること。この順番を間違えないようにしましょう」

 では、次のページから、西村先生のおすすめ併願パターンとして、男女御三家志望者向けの内容を紹介していきます。

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