仕事も子育ても、一生懸命がんばろうとしているけれど、予想外のトラブルがどんどん起こってうまく回らず、ため息ばかりついてしまう。陸上自衛隊初の心理幹部として16年にわたって隊員達のメンタルヘルス教育をしてきた心理カウンセラーの下園壮太さんによる新連載。第1回では、疲れたこころを充電する必勝アイデアを提案していただきます。

疲れから復活する力は35歳前後で変わる

 あなたは一日に何回「疲れた~!」というフレーズを口にするでしょうか。長時間の会議が終わったとき? それとも保育園のお迎え後に帰宅し、荷物を置いた瞬間? あるいは、朝起きた瞬間から「疲れが抜けない……」と実感している人もいるかもしれません。

 共働きしてるから、子育てしているから、疲れるのは当たり前――こんなふうに疲れている自分をはぐらかしていませんか? でも、あなた自身が疲れを認めてケアすることは、ストレス対処法として最も効果的な対策である、ということを今回はお伝えしたいと思います。

 若いときは徹夜をしても一晩ぐっすり眠れば復活できた。でも、今は徹夜などすると1週間ぐらいはその疲れを引きずってしまう、と思っているあなた、その実感は正解です。下の図のように、私達は年齢を重ねるとともに「活動量(思考や活動に使うエネルギー量)」が増えていきます。職場でも部下ができたり、責任のある仕事を担う機会が増えてきたりするし、子育てはそれだけで大変な労力を伴うもの。その一方で「エネルギー回復力(疲れを回復する力)」は減ってきます。

 実はこの2つの線がクロスするのが、ちょうど35歳ぐらいの時期。

 同じくらいの労力を伴う仕事をしても、その疲れから復活する力は、35歳以前とそれ以後では大きく変わってくる。だから、仕事のやり方、ストレス対処の仕方をきっちり見直していく必要があります。

親は疲れてる、そして子どもも実は疲れてる

 しかし、子育てをしていると、とにかく忙しい。のんびり仕事のやり方を見直す暇すらありません。自分のことはどんどん後回しになるし、ぐっすり眠りたくても夜中にたびたび起こされる、急な発熱で計画していた仕事がいっこうに進まない、というのが現実ですね。

 さらに、親だけでなく、最近は子どもも疲れていると私は思うのです。

 その原因は、子どもの遊びが体を動かすものからデジタル系に変わったことが影響しています。