「歯磨きをしないと虫歯になる」「甘い物を食べると虫歯になる」という言葉は、私達親世代も小さなころから耳にしてきました。もちろん間違いではありませんが、虫歯の原因はこれだけではありません。
 虫歯は「生活習慣病」と「感染症」の2つの側面があり、それをふまえた正しいケアをすれば子どもの虫歯は予防できるそうです。虫歯ができるメカニズムから、日常で注意したいこと、正しい歯磨きの仕方まで、小児歯科専門医の歯科医師にお聞きしました。

【子どもの虫歯、歯列矯正特集】
(1)75%が仕上げ磨きを実践 嫌がる子にどう歯磨き?
(2)一生の虫歯リスクは3歳までに決まる<乳歯編> ←今回はココ
(3)虫歯の2大要因は「清掃不良」と「ダラダラ食べ」<永久歯編>
(4)歯列矯正「3・6・8歳」で歯並びチェックを
(5)子どもの歯列矯正、病院選びのポイントと費用の相場

甘い物だけじゃない! 虫歯菌は炭水化物全般が大好物

 虫歯は主に、口の中に住んでいる虫歯菌が原因で起こります。簡単にプロセスを説明すると、

虫歯菌が食べ物に含まれる「しょ糖」を食べる。

「しょ糖」を食べた虫歯菌が増殖して、ネバネバとした酸性の排泄物(プラーク)を出す。

プラークが歯を「脱灰」させて虫歯になる。

 虫歯菌にはいくつか種類がありますが、歯にくっつきやすい性質があるミュータンス菌が一番の原因菌です。ミュータンス菌の大好物「しょ糖」は、甘い物に限らず、ごはんやパン、芋類などの炭水化物に含まれるので、甘い物を食べなければ虫歯にならないという考えは間違いです。

 次は、虫歯菌が親から感染することについて解説します。

新生児の口の中はほぼ無菌状態。3歳までに虫歯菌の分布図が決まる

 虫歯は「ミュータンス菌による感染症」という側面もあります。虫歯菌が口内にいなければ、歯磨きをしなくても虫歯になることはないですが、残念ながら虫歯菌がいない人はいません。

 実は生まれたばかりの赤ちゃんにはほとんど虫歯菌がいません。しかし、乳歯が生え始めたころから、赤ちゃんに接する人(両親など)の唾液を介して感染します。口移しで食べ物を与えたり、スプーンや箸・コップを共有することは気をつければ避けられますが、スキンシップでも感染するので、虫歯菌の侵入を完全に阻止するのは不可能です。

 ではどうしたらいいでしょうか?

<次ページからの内容>
・虫歯菌に感染しても虫歯のリスクを減らすには?
・虫歯と卒乳時期の関係
・虫歯になりやすい危険ゾーンはココだ
・ママとパパは知っておきたい仕上げ磨きのコツ