ステップ1

1. 状況把握は具体的に。
2. 競合する敵ではなく、協働する味方として考える(Missionの設定)
3. 相手の欲しいコトやモノではなく、感情、欲求に耳を傾ける

ステップ2

1. 相手の利益、感情を考える。
2. 自分のゴール、BATNA、WATNAを整理する
3. 交渉する「ヒト」と「コト」を分けて考える

ステップ3

1. 常識にとらわれずできるだけ多くの解決案を考える
2. 解決案の優先順位を付ける
3. お互いの欲している感情に照らし合わせる

 ここで、日常の交渉をするうえで最も大事な「感情、欲求」について改めて整理してみます。

自分の感情を受け入れることは難しい

 人間は欲求と感情の動物です。人間のほとんどの意思決定は欲求と感情に支配されています。マズローの欲求5段階説を参考にしてみましょう。

 (1)生理的欲求と(2)安心・安全欲求は物質的欲求であり、(3)愛情欲求、(4)承認欲求、(5)自己実現欲求は精神的欲求です。そのなかの3と4は他人とのコミュニケーションによってのみ満たされる欲求です。逆に満たされないとストレスがたまる欠乏欲求でもあります。相手の感情をポジティブに受け入れることは、相手の欲求を満たし、最終的には自分の欲求を満たす、まさにW-W交渉の最初の一歩になるわけです。

 相手の感情や欲求を素直に受け入れるためには、まず自分の感情や欲求に正直になり自分自身を受け入れる必要があります。しかしながら自分の感情を受け入れる、自分の思っていることを正しく認識し言語化する、というのはなかなか難しいことです。

 なぜなら、私達は「母親はこうあるべき」「男子たるべきものかくあるべき」という社会的プレッシャーに常にさらされているので「こんな発言したらわがままだと言われるかも」とか「弱音を吐いたらバカにされるかも」と思うからです。自身の素直な感情や欲求を封印し、自分自身の感情に知らないふりをしていることが多いのです。