定年退職した後に孤独を味わいたくなかったら、まずはパパ友を作り、次にそのパパ友とグループ活動をすることを、武蔵大学で男性学を教える助教の田中俊之さんはすすめます。そうすれば、地域コミュニティに自分の居場所ができるからです。このパパ友グループの活動の手本になるのは、柔軟な運営と緩やかなつながりを軸にした地域の先輩達の活動です。

孤独な定年後を迎えないためにできること

 前回の記事「働いてばかりのパパは定年後の居場所が無い」では、仕事中心の生活をしてきた男性が、定年退職後に抱く虚無感について考えました。地域に友達がいなかったり、家族との関係をおろそかにしていたりすれば、定年後に孤独になるのは当然です。しかし、現役で働いている最中には、なかなかこの問題に気づきません。ワーク・ライフ・バランスと言えば家族のためという印象が強いかもしれませんが、実は自分のためでもあります。孤独な定年後を迎えないために、パパ達は仕事以外の生活に目を向ける必要があるのです。

 定年退職した男性が、自分達の居場所作りのために参加しているのが地域活動です。仕事がなくなって時間があるからと言って、唯一の頼りである奥さまにばかりすがっていては、残念ながらうっとうしいと思われてしまいます。現に、定年退職者を対象にした講座に来る男性の大半は、自主的に参加しているのではなく、妻に行くように促されて来ています(働くパパ向けの講座でも同様の傾向があります)。定年退職者は近所に友達を作り、「自立」しなければいけないのです。

 仕事一辺倒だった男性達は、定年後にいかにして近所に知り合いを作り、活動を継続しているのでしょうか。今回は、私が調査した神奈川県のある地域の事例を紹介し、パパ達がグループ活動をするためのヒントを見つけていきたいと思います。

パパ友グループは名前選びがまず重要

 まず、パパ友グループが活動を始める際には、グループ名が必要になります。これについては、もちろん自分達の気に入った名前にすればいいのです。ただし、将来的には、行政に活動の助成を申請したり、区報や市報、あるいは場合によってはメディアで取り上げられたりする可能性もあります。ですから、人に聞かれても恥ずかしくない名称にしておきましょう。

 私は以前、「武蔵男性性研究会」というグループを立ち上げ、行政から助成を受けて調査を実施していました。研究会の名前は調査研究の報告書などにも記載する必要があります。単に大学の名前から取ったのですが、妙に猛々しく男らしい印象を与えてしまい、もう少し考えて名前をつければよかったと後悔した経験があります。みなさんも気をつけてください。