「長期」と「分散」でプラスサムを目指す!

 もう一つのキーワードは「分散」です。

 例えば、世界中に会社が1つしかない場合、その会社の事業が失敗して倒産すると、株も債券も無価値になるかもしれません。しかし現実には、世界中に何百万という株の会社があります。何百万の会社は、全体としてみれば、倒産する株よりも事業を伸ばしている株のほうが多いので、分散してたくさんの会社の株や債券を持っていれば、最初に投資したお金を増やせるわけです。だからこそ「分散」というもう一つのキーワードも重要になります。

 重要なのは、「世界全体」を意識すること。日本株だけ、のように1つの資産を対象にすると、例えば1989年のバブルの高値のような割高な時期に投資してしまった場合、その後もなかなか回復しません。それを避けるために、世界全体に投資することをおすすめします。そうすれば、たまたま一つの資産で運悪く高値つかみをしてしまうリスクを防ぐことができます。さらにリスクを減らす方法として、一度に買うのではなく、積み立てで時期を分散して買うということも大切です。

 つまり、長期で分散して会社の株や債券を持っていれば、株主も債権者も、全体としてみればもうかることになります。このように、全員が利益を得られる仕組みを「プラスサム」といいます。サムは英語で「合計」という意味です。「投資」であれば、長期と分散という前提さえそろえてあれば、全員がもうかることが期待できるわけです。これが、老後資金をつくるカギになります。

投資はお金の出し手全員がもうかる「プラスサムゲーム」
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