「スリールはもう必要ない社会」になることが究極の目標

羽生 堀江さんの人生時計はまだ午前10時。これからの夢や目標も教えてください。

堀江 仕事と子育ての両立について学ぶ実践的プログラムが、公教育のプログラムにまで発展することが次の目標です。経営者らしからぬ発言かもしれませんが、いつか「スリールはもう必要ない社会」になることが究極の目標ですね。誰一人として、仕事も子育ても諦めない社会に近づけていきたいです。

羽生 DUALは男性の読者も多いので、ぜひメッセージを。

堀江 男性の皆さんも、既成概念に縛られずに、自分の人生を諦めないでほしいです。男性は仕事一色で30代、40代と突き進んで、50代くらいからふと「仕事だけが人生ではないかもしれない」と気づく方が多いみたいです。育児に参加することで世界は広がって、本当はやりたかった自己実現や社会参加の方法も見つかると思います。

羽生 堀江さんは厚労省のイクメンプロジェクト推進委員にも就任されたんですよね。

堀江 はい、男性の育児参加を応援します!

 男性って一度コツをつかむと子育てにハマる方が多いみたいですね。寝かしつけもいろいろ実験しながら「この角度で抱っこするのがベストだぜ!」と法則を見つけたり(笑)。お茶の水女子大学の調査で、「子どもが1歳半までに父親が育児参加したかどうかで、その後11年間の妻から夫への愛情に差が出る」という報告もあります。子どもからの評価も高まるそうです。子育てを通じて地域につながると、定年後の居場所もしっかり確保できますし。自分自身を支え、大切なパートナーを支え、そして子どもからも愛されるお父さんになるため、ぜひ子育てを楽しんでほしいです。

羽生 堀江さんからは「諦めない」というキーワードをいただき、勇気をもらいました。今日はありがとうございました。

(取材・文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子)