27歳で部長職に。初めての部下20人は全員ブラジル人
阪部 久野先生と私の出会いはCFO日本協会が主催する「CFOになるためのリーダーシップ」というセミナーでした。私はヘッドハンターの立場から、どういう人が企業のCFOになるのかを学ぶために参加したのですが、その講師が久野正人先生でした。そして、職業柄、久野さんご自身のキャリア変遷に大変興味を持ちました。
…と申しますのは、久野さんはベックマン・コールター時代、CFO、事業部長を経て、代表取締役CEOに就任されています。アカウンティングのプロフェッショナルと、自らビジネスを生み出す経営管理は似て非なるものです。言ってみれば「ナンバー2から企業トップになる過程」。そこには並々ならぬ努力があり、ご自身の意識改革があったことは想像に難くありません。
日経DUALの読者は現在、管理職の方はいらしても、CEOの方は少ないはずですので、今すぐにでも「自分自身がCEOを志す」などといったイメージは湧かないかもしれません。その一方で、親としては子どもにどういう教育をすれば、久野先生のようなグローバルで通用するビジネスリーダーになり得るのか、という興味はおありのはずです。
まずは簡単に、久野さんご自身のグローバルなご経歴をお尋ねしたいと思います。
久野正人さん(以下、敬称略) 私は現在、56歳です。4年前に独立するまでの30年間、会社員として働いてきました。
新卒で入社した会社では海外事業部本部のメンバーとしてブラジルでの合弁企業の立ち上げに携わりました。日本では管理職ですらなかったのですが、27歳という年齢で現地の部長職を命じられ、ブラジルでいきなり20人の部下を持つことになってしまいました。
また、当時(1987~93年:編集部注記)のブラジルは「BRICs」と称される現在の経済状況とは程遠く、年率3000%(物価が1年で30倍)という途轍もないハイパーインフレに見舞われていました。