子どもさえちゃんと食べてくれれば、大人の食事は何でもいい(笑)

実家に預けていた娘と対面、甥っ子とともに
実家に預けていた娘と対面、甥っ子とともに

―― 管理職になって、特に大変だったことは何でしょうか?

槙田 仕事の責任が大きくなりますし、急な対応で帰宅時間が遅くなることもあります。一日に家事に費やす時間は限られるので、「家事は優先順位を決めて効率化する」。もしくは「不要な家事はやらない」など、仕事にも通じるノウハウを実践しています。ただし、自分で物事を変えていきやすい立場になったことで、やりがいも感じます。

 ありがたかったのは岡本さんのおかげで、子どもの生活リズムを保育園時代からほとんど変える必要がなかったこと。当然ですが、私がどんなに忙しくても、子どもの生活リズムを乱すことなく、いつも決まった時間に帰って、食事をして、入浴をして、翌日の準備をして、睡眠時間もたっぷり取っていました。親の仕事に影響されないで、子どもが規則正しく生活できるのは本当にありがたいですし、ファミサポを利用する大きなメリットだと思います。

 中でもありがたかったのは食事です。子どもにとって大事な成長期にもしっかりと栄養が摂れているという安心感がありました。私達親の食事は極端に言えば、何だっていい。何なら一食くらい抜いてもいいと思っています(笑)。

―― うれしかったエピソードはありますか?

槙田 岡本さんには子どもの成長についてよく相談をしました。初めての子育てで分からないことばかりでしたし、職場復帰後は「子どもに寂しい思いをさせているのではないか」と悩むことが多かったんです。

 そんな私に対して、岡本さんは「〇〇ちゃんは○○がとても上手にできているわよ」と子どものよいところを教えてくれていました。ありがたかったですね。親とは違う角度から客観的に子どもの成長を見守ってくれて、私自身、気づかされることが多かったです。

 特にうれしかったのは子どもが私に手紙をくれたこと。ある日、仕事で「しんどいなー」と思っていたとき、「ママ、がんばって」と手渡してくれたんです。実は、岡本さんが普段から私の仕事について娘に話をしてくれていたようで………。あのときは本当にうれしかったですね。

―― ほかに感じたこと何かありますか?

槙田 地域の方にサポートしていただくファミサポは、子育て中の自分にとってもありがたい仕組みだと思いました。例えば東日本大震災のとき、私達夫婦はどちらとも帰宅できませんでしたが、駆けつけることのできる距離にサポートしてくれる人がいるという安心感は大きかった。岡本さんは保育園の先生からの信頼も厚かったようです。

 また、「家族のプライバシーには関わらない」など一定の距離を持ちながら、サポートしてくださったのもありがたかったです。

 2013年でファミサポは卒業しましたが、「同じ地域に育児をサポートしてくれる人がいる」「何か困ったときは岡本さんがいる」と今でも心強く感じています。

―― そういった関係性を築くためには、何が必要だと思いますか?

槙田  「困ったときはすぐに相談する」「日々の活動報告で気になることは早く聞く」でしょうか。また、自分に合ったサポーターを見つけるには、動き続けることも大事だと思います。私は岡本さんに出会うまで、「信頼できる方を探しています。もしこういった条件の方を知っていたら教えてください」と周囲に声をかけていました。どんなに優れたシステムも、それを支えるのは人。あきらめない限り、自分に最適な環境はきっと見つかると思います。

長くいきいきと働いていたい

―― 仕事と家庭のある毎日を続けるために、何か心がけていることはありますか?

槙田 第一に体調管理です。体調が悪いと周囲にも迷惑をかけるし、子どもにもしわ寄せがいくので無理をしないように心がけています。長く働くために、やはり体力が必要だと感じています。夫からは「お互い働けるまで働こう」と週末にはジョギングに連れて行かれます。確かに人生90年時代ですよね。

―― 夫婦二人とも働けるまで働く。すてきですね。

槙田 仕事が好きなんです。いい仲間に囲まれて、いい仕事をしたい。“母親の目から見た社会”も娘に伝えたい。これは、職場復帰をしてから再確認したことです。

* 次回は、槙田さんを支え続けたファミサポさんへのインタビューをご紹介します。

(ライター/たかなし まき)