描くことで冷静になり、お互いの考えが一目で分かる

 1)冷静になるため 

 子どもというのは基本的に親の思い通りにならない存在ですよね。

 大人同士のやり取りであれば、相手は自分と違う他人だという理性が働いているので、思い通りにならなくてもいきなり大声で怒鳴るなんてことはしないものです。

 でも子どもになるとつい相手は自分と違う存在だという基本的な人としての距離感を忘れてしまいがち。

 それでつい思い通りにならないときにイライラした感情が湧いてきて「何回言ったら分かるの!」「まったくあなたは!」「いいかげんにして!」とつい口にしてしまい、その自分を責めてしまうお母さんもいます。お母さんだって本当は怒りたくないですよね。

 そんなときに図解子育てをすると、描くことに意識がいくことで次第に理性が戻ってきて、その分感情が抑えられていくんですよ。

 2)思いを理解するため 

 ちょっと自分が子どものころを思い出していただきたいのですが、親の言うことを聞きたくなかったときというのは、下記のようなときではなかったですか?

 ・お母さんに怒られている気がしてイヤだった
 ・お母さんにうるさいことを言われていると感じた
 ・お母さんは分かってくれないと感じた

 反対に、心が通い合ったシーンのときは、自然とお母さんの話を聞けたと思います。

 ・自分の意見を言えた
 ・お母さんが気持ちを分かってくれた
 ・お母さんの気持ちが分かった

 こんなふうに相手の意見を聞いて動いてみようかなと思うときのポイントは「自分の思いや気持ちを分かってもらえた」という共感があったときだと思うのですが、「思いを図解すること」で

 「あぁ、あなたはそう思っていたのね」
 「あぁ、お母さんはそう思っているんだ」

 ということを一目で理解することができるようになります。そして互いに「相手は自分と違う一人の心ある人間なんだ」という感覚がつくられ、程よい距離感が生まれていきます。

 健やかなコミュニケーションで共感はとても大事なことになるからこそ、お互いの思いや意見を目で見て分かる状態にするとお互いの心を理解しやすく、結果として共感が生まれやすくなります。

 子どもの心を聞いているうちに、子どもが思いもよらないことを思っていたり考えていたりすることが分かり、子どもの新たな一面を発見できるという面白さもあります。

 次ページでは3つめの理由と、いよいよ利用する図解(チャート図)を紹介します。