実際にワーママで転職をした人は、何がきっかけで転職を考え、どのような壁にぶつかり、そしてどのように乗り越えていったのでしょうか。また、転職後の仕事の満足度は? 今回集まってくれたのは「転職に失敗した」と後悔した経験のある3人。それぞれのリアルな転職体験談を聞きながら、転職に失敗した原因と、そこから学んだ「これから転職活動を始めるワーママに伝えたい教訓」を探ってみました。

【ワーママ転職特集】
第1回 ワーママの8割が「転職を考えたことがある」
第2回 ママであることは、やっぱり転職に不利?
第3回 ワーママが転職活動をするときの「心得」とは?
第4回 転職に「成功」するワーママはここが違う!
第5回 転職に「失敗」するワーママがはまりがちな落とし穴
第6回 ワーママの年収は転職で上がるか? 下がるか?
第7回 座談会「転職上手なワーママ3人」の本音
第8回 座談会「転職に失敗したワーママ3人」からの教訓
第9回 ワーママ転職 子どもの有無を履歴書に書くべきか?

<転職に失敗したワーママ座談会 参加者プロフィール>
●稲川華絵さん(仮名・40歳):転職時は39歳、子ども3歳
MR(6年)、広告代理店の営業(5年)→第1子を出産、第2子の妊娠・流産をきっかけに、外資系損害保険会社に転職(2カ月)→現在、化粧品原料のメーカーに勤務(半年)

●小野加奈子さん(仮名・30歳):転職時は29歳、子ども2歳
家電メーカーの新規事業開発(3年半)→夫の地方転勤で退職、出産→IT関連企業勤務(半年)→現在、人材育成企業に勤務

●阿部さゆりさん(仮名・44歳):転職1回目は38歳で子ども3歳、転職2回目は39歳で子ども4歳
ママになる前も複数回の転職経験あり。マスコミ関連企業数社での事務を経て、ブライダル業界へ。ホテルでブライダルコーディネーターとして勤務(1年)→出産を機に退職、パートタイム社員として復職→中古車の販売会社の事務に転職(1年弱)→現在はコンピューター販売会社の営業事務(5年)

<目次>
●「マタハラ」「条件相違」「正社員を目指して」……etc. きっかけはさまざま
●面接のときに聞いた話では「働きやすそう!」と思ったのに……
●今の職場を離れたい一心で、好条件に飛び付いて失望
●焦りは禁物。できないことは正直に伝えて、将来ありたい姿も見据えた転職を

「マタハラ」や「夫のリストラ」など、さまざまなきっかけ

日経DUAL編集部 前職と、転職をしようと思ったきっかけについて教えてください。

稲川さん(以下、敬称略) 新卒でMRを6年、その後広告代理店で営業を5年勤めました。上の子が3歳で2人目を妊娠中に、「まさか2人目を産んだあとに戻って来たりしないよね。一度休まれると仕事の勘を取り戻すのに時間がかかるんだよね……」と、営業部長から言われたんです。いわゆる“マタハラ”です

 結局そのときの子どもは流産してしまったのですが、社内では2人目を産むとほとんどのワーママが辞めていくのを見て、「ここでは働き続けられないな」と感じました。それが転職を決意したきっかけです。

小野さん(以下、敬称略) 新卒で、家電メーカーに入社しました。新規事業部で4年近く働いたのち、夫の地方転勤により退職し、地方で出産しました。夫が東京に戻ったタイミングで仕事に復帰しようと、転職活動をしました。

阿部さん(以下、敬称略) ブライダルコーディネーターをしていたときに妊娠したのですが、激務の職場には「妊娠したら辞める」という風土があったために一度退職しました。その後、同じ職場に、やはりブライダルコーディネーターとしてパートタイム社員で復帰。子どもが3歳になったときに「正社員になりたい」と伝えたところ「正社員の時短勤務は前例がないので無理」と言われたんです。

 そして、同じタイミングで同じ職場に勤めていた夫がリストラに遭ってしまい、「私が正社員として別の職場に転職するしかない」と決意しました。ただし、仕事を続けていると面接にも行けず、その年の3月で退職。4月から転職活動を始めました。

ママでなくとも転職活動は大変。ましてや仕事と育児の両立に苦慮しながら活動をしたのに失敗してしまったら…。時間的・肉体的・精神的ダメージは大きい
ママでなくとも転職活動は大変。ましてや仕事と育児の両立に苦慮しながら活動をしたのに失敗してしまったら…。時間的・肉体的・精神的ダメージは大きい