阿部 私はハローワークの再就職支援セミナーでワードやエクセルの勉強をしていたころに、中古車販売会社の事務職の仕事を見つけました。前職がブライダル業界で土日がメインの仕事だったので、次は土日が休みのところがいいなと思っており、希望にも合っていました。

 早速面接に行くと、社長の娘さんも働きながら2人の子どもを育てていると分かり、ワーママにも理解がありそうだと思って入社しました。社員5人程度の家族経営のような小さな会社でしたが、シングルマザーが2人いることも心強かったのです。

 ところが社長がワンマンタイプで、お金に関してダークな部分が少しずつ見えてきました。半年くらい経って、消費税が未払いだったことが判明して国税調査が入り、「危ないな……」と思っていたら会社が倒産してしまったんです。「すぐに辞めてくれと言われても困るだろうから、1カ月分の給料は出す。明日から来なくていい」と社長に言われ、あっという間に職を失ってしまいました。

「念願の正社員として再就職できたのに、会社がなくなってしまっては元も子もなく……」(阿部さん)
「念願の正社員として再就職できたのに、会社がなくなってしまっては元も子もなく……」(阿部さん)

焦りから求人広告上の好条件に飛び付いたけれど、実態は……

―― 皆さんは転職に「失敗してしまった」と感じられていますが、何が原因だったと思いますか?

阿部 夫がリストラに遭ったことから、「少しでも早く正社員になりたい」と焦り過ぎたこと。面接のときに「ワーママがいる」と聞いて、実態を調べもせずに勝手に安心してしまい、安易に入社を決めてしまったことですね。

稲川 私の失敗は「収入を落としたくない」という理由から、安易に外資系を選んでしまった点です。「がんばればお給料は上がりますよ」という言葉に飛び付いてしまいました

 今は「自分にとって、収入がそれほど優先すべき条件だったのだろうか」と反省しています。本来、収入も高くて残業もしなくていいなんて、そんな甘い仕事はあるわけないのに(笑)。また、収入を優先したせいで、それまでのキャリアや知識を活かせる仕事内容を重視しなかったのも反省点です。

小野 転職活動中、働かずに子どもを認証保育園に入れていたので、保育料の支払いでお金がどんどん減っていき、「すぐに就職したい」という焦りがあったことです。面接で「社員にワーママがいないので、理解してもらえないのではないか」という不安があったのですが、勤務地が近いし、その会社のサービスのユーザーでもあったので「まあ、大丈夫だろう」と安易に考えてしまいました。会社のイメージだけで決めずに、そこで自分が働いたときのイメージをもっとしておくべきでした。業務内容も自分が本当にやりたかったこととは違っていて、本当に働きにくかった……。