ワーママは「自分をご機嫌にするための努力を惜しまないで」

大臣 私自身、できているとはいえませんが、大事にしていることがあります。それは、「自分をご機嫌にするための努力を惜しまない」ということ。

 暮らしの質を上げるということもそうですね。一輪の花を飾るとか、自分を気持ち良くするために肌着の材質はコットンにこだわるとか。「定番を持つ」ということも。

羽生 自分にとってのお守りのようなことでしょうか。

大臣 そう、自分の好きなものが分かるということ。いちいち意思決定に悩むのではなく、私が好きなのは〇〇のシャツだとか、〇〇の靴下だとか。これがあるとご機嫌になれるものがあるといいですよね。

自分の好きなことを「因数分解」してみよう

大臣 それから、ロールモデルが近くにいないということがよく言われますが、完全なロールモデルではなくても、好きなところを少しずついただけばいいんです。羽生さんを好きだと思ったら、「私は羽生さんのどこが好きなんだろう」と自分の好きなことの因数分解をしていくんです。顔なのか、印象なのか、性格なのか、言葉の掛け方がうまいのか、ファッションなのか。そうやって因数分解すると、いいなと思ったところに自分が近づけるじゃないですか。なんとなく嫌い、なんとなく好きで止まってしまうと、単なる好き嫌いで終わってしまって対処ができなくなります。

羽生 有村大臣は、情熱と理性を両立されているんですね。好きなことの因数分解ですか。おもしろい! ご自身の周囲や環境とより良い関係を保つために工夫していることはほかにありますか。

大臣 ほどよい距離感です。仕事も家族もそうですが、みんな外で闘っているから、家では体力を消耗する言い争いはしないということに価値を置いています。わが家はバタバタしてはいますが、そのバタバタも含めて人生だと思っています。私の等身大の苦難も子育ての喜びも生きがいも含めて、よりよい未来につなげていきたいと思います。

羽生 たくさんのリアルなお話を本当にありがとうございました。

(おわり)

(ライター/太田美由紀、写真/稲垣純也)