キャリアか家庭か → 両立しながら持続可能か

大臣 男女共同参画や女性の社会進出という問題は、一部では盛り上がるけれどもそれ以外の人は距離を置いてしまうという局面があったことも事実です。これまでにそうした闘いがあったからこそ、女性が社会進出する素地ができたのも事実ですが、もう、キャリアか家庭かという二者択一の世界ではありません。キャリアもプライベートも充実させたい。これからはその両立が持続可能かどうかというところに時代の要請があります。

羽生 有村大臣はどのように両立されているんですか。

大臣 私も四苦八苦しながら毎日を過ごしています。女性のライフイベント、ライフステージ、年齢、キャリアに応じて女性の心身の変動はとても激しいものですよね。ホルモンバランス、体力、生活のリズム……。激しい浮き沈みを経験します。がむしゃらに徹夜で乗り越えてきた若い頃とは、体も確実に違ってきて、当然疲れも出てきますし、弱気になることも当然あるということも認めた上で毎日を過ごしていかなければなりません。

「かつてのように夜遅くまでがむしゃらに働くのは難しくなりました」
「かつてのように夜遅くまでがむしゃらに働くのは難しくなりました」

羽生 まるで私のことを言われているようです。本当に、もう徹夜はできなくなってきましたね(笑)。

大臣 若い人には体力はかなわない。でも、それを補っていくのが人間としての器や経験の錬度です。指導的地位に立った女性がその立場で頑張って、足腰を強くして次の世代を引っ張っていくわけです。そのサイクルを回していきたいですね。

今、女性に必要なことは何ですか?

羽生 有村大臣は、女性が頑張り続けるにはかなり厳しい「政界」に身を置いていらっしゃいますよね。

大臣 事実上、まさに厳しい「男社会」ですね。一般的に女性は「これもいいわね」「あれもいい」と多くのことに共感し、受容する力があると言われます。細やかな共感性や気遣いは女性の強みでもありますが、仕事としての成果を出すためには意思決定をしなければならない場面が出てきます。この道を進むためには何かを諦めなければならないということに日々直面します。仕事上、管理的ポジションに就くには、優先順位の決め方、戦略的な意思決定など、意識的なトレーニングが必要かもしれません。

羽生 仕事に関してもそうですし、人間関係においても、誰からも好かれたいとか、NOと言えないというところはあるかもしれませんね。

大臣 何かを成し遂げようとか突き抜けよう思ったら何かを諦めなければいけない。例えば私は、自分の子どもに手作りのおやつを食べさせるとか、キャラ弁を作ることはできません。そこは自分で判断しているから、周りがどんなお弁当でも動じないし、仕方がないと思っています。

羽生 「手作りのおやつを作れない私はダメな母親だわ」と思う必要はないということですね。