平成27年4月本格施行の「子ども・子育て支援新制度」。「みんなが子育てしやすい国へ」とキャッチフレーズを掲げ、男女共に仕事と子育てを両立できる社会を目指した動きが活発化しています。新たな「少子化社会対策大綱」も3月20日に閣議決定されました。そこで、「新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会」構成員でもあった日経DUAL羽生祥子編集長が、国務大臣として女性活躍、少子化対策、男女共同参画などを推進し、自らもワーキングマザーとして活躍中の有村治子大臣に直撃インタビューを敢行します。第1回は、気になる少子化対策について詳しくお話をうかがいました。

<プロフィール>

ありむら・はるこ 1970年生まれ。女性活躍・行政改革・国家公務員制度担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革・少子化対策・男女共同参画)。ICU国際基督教大学を卒業後、米国SIT大学院に留学・修士課程修了。日本マクドナルド勤務を経て、30歳で青山学院大学大学院博士課程に在籍中の平成13年、参議院選挙比例代表(全国区)にて初当選。文部科学大臣政務官、歴代最も若い自民党女性局長、参議院環境委員長を歴任し、現在参議院3期目。家族は鉄道会社に勤める夫と小学生・保育園児の子ども2人。

新しい「少子化社会対策大綱」今までとどこが違うの?

羽生編集長(以下、羽生) 内閣府「新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会」の構成員を務めさせていただきましたが、検討会で出たたくさんのアイデアが大綱に取り込まれており、うれしいです。

有村大臣(以下、大臣) リアルママの等身大の意見をたくさんご提案くださって、ありがとうございます。

羽生 今回は、改めて少子化対策について詳しくうかがいたいと考えています。まず、新しい大綱で「今までの少子化対策とここが違う」というポイントを教えていただけますか。

大臣 一番大きなポイントは、結婚に対する支援を盛り込んだことです。子育て支援の重要性や晩婚化・晩産化の影響についてはこれまでも記述していましたが、「結婚自体がままならない現状や非婚化の中で、結婚を希望される方を応援する」という新たな価値観を生み出したことです。

 また、もうひとつの目新しさとしては、人口減少に歯止めをかけ、反転させていくために、お子さんが1人、2人いるご家庭はもちろんですが、3人以上のお子さんがいる家庭を積極的に応援していこうという点です。

「人口減少の中、子どもがたくさんいる家庭を応援していきたい」
「人口減少の中、子どもがたくさんいる家庭を応援していきたい」

羽生 結婚については全国的に逼迫した問題ですし、子どもの多い家庭への応援は大変ありがたいものです。また、さらに、「さんきゅうパパプロジェクト」(※1)も新たな試みですね。これまでは少子化問題というと主語が女性でしたが、男性、パパ、会社、企業などがキーワードになったことは大きいと思います。

※ 1 さんきゅうパパプロジェクト/「さんきゅうパパプロジェクト キックオフシンポジウム ~出産直後の『男性の休暇取得』促進に向けて~」で有村大臣は、「出産直後に休暇を取り、妻をいたわり、新たな命の誕生の時を共有することで、父親になったことを実感し、その後の家事・育児につなげていただきたい。さんきゅうパパプロジェクトをきっかけに、男性の家事・育児が当たり前になり、安心して子供を生み、育てられる社会が実現するよう、経済界や地方自治体とも連携し、更に取組を強化していきたい」と挨拶(内閣府HPより引用)

大臣 そうですね。それこそが、私が女性活躍、少子化対策担当大臣に就任以降最も気をつけていることです。女性だけ、子どもだけの問題にしないためにも、より多くの人たちが共感して応援して下さる取り組みが必要です。「男性の家事・育児への積極的な参画を社会全体で応援しよう」と、もっと打ち出していきたいですね。

羽生 女性が家事・育児をすべてこなし、さらに仕事でも活躍というのは物理的にできませんよね。