「小学校受験、興味があるけれど何をしたらいいの?」「ウチの子でもできるかな?」――共働き家庭でも珍しいことではなくなった「小学校受験」について考える企画。前回の「小学校受験 ハードル下がり共働きでも」に続く今回は、いざ小学校受験をしてみようと決めた後に、知っておくべきこと、すべきことを小学校受験専門サイト「お受験じょうほう」を運営するバレクセルの野倉学さんに聞いていきます。学校の種類や見学のポイントなども紹介します。

 <今回のポイント>
 ●私立と国立、何が違うの?
 ●学費はどのくらいかかるの?
 ●学校選びのポイントは?
 ●受験に向けたスケジュールって?

私立と国立、何が違うの?

 さて、小学校受験について調べたり、夫婦で話し合ったりして「受験しよう!」と決めたら、いよいよ準備がスタート。まずは、私立と国立小学校の違いを知ることから始めよう。

 私立も国立もそれぞれ学校の方針やカラーがはっきりしている。

 「国立は教育研究機関として小学校が設置されているため、教育や先生の質が高いと言えるでしょう。筑波大学附属などは、私立小学校へ先生を派遣して教育指導を行っていることもあり、教育界でも一目置かれる存在です。ただ、国立は受験できる家庭の居住地域が限定されていたり、その後の中学や高校への進学ができなかったりする学校なども多いので、よく調べておきたいですね

と話すのは受験に詳しい小学校受験対策研究所の野倉学さん。

 また、国立では、受験の際にペーパーテストなどだけでなく公平を期すための抽選がある。子どもがペーパーテストに受かっても、その後の抽選で外れてしまえば入学することはできないので、運も味方に付けなければ合格までたどり着けないのだ。

 一方、私立は様々なタイプの学校があるので、家庭の教育方針や子どもの個性に合わせた学校を選びやすい。中学や高校、大学まで併設している場合も多い。さらに男女共学だけでなく、女子校、男子校という選択肢も小学校からあるのも特徴だ。

 「別学、共学どちらがいいかは家庭の方針があると思いますが、別学には別学の良さがあります。それぞれ男の子、女の子の成長過程に合わせた教育アプローチや、今まで積み重ねてきた経験に基づいたカリキュラムが提供されます。また異性がいないのであれば、例えば女子校の運動の準備で力仕事を行うのも当然女子というように、多様な経験ができます。一方、共学校は社会の縮図と言われており、男女の協力関係を独自のカリキュラムで築いていくことができます」

 さらに、私立の学校の中でも、大学までエスカレーター式で進学できる学校から、中学受験で他学への進学を奨励している学校、併設の大学があっても他大学を選択する生徒が多い学校など、様々なタイプがある。10年前とは附属校の考え方が違ってきているので、小学校より後の中学受験、高校受験、大学受験のことも視野に入れて学校を慎重に選択したい。

各学校の進学タイプ

 ●大学付属の(幼)小中高大一貫校
  例:慶應、慶應横浜、早稲田実業、青山学院、立教、学習院、日本女子大豊明など

 ●大学受験対応型の(幼)小中高一貫校
  例:暁星、桐朋、雙葉、白百合、女学館、東洋英和など

 ●大学付属でありながら、大学受験対応の(幼)小中高一貫校
  例:成蹊、成城、聖心など

 ●外部の中学受験対応校
  例:宝仙、精華、洗足、淑徳、都市大、国立学園など

 前述の通り国立には抽選があるため、第一志望にして、入学試験では合格していても必ずしも入学できるとは限らない。そのため、私立も国立も両方とも調べて準備し、受験する家庭が増えてきているようだ。