「小学校受験では、自然との接し方、伝統・季節行事の知識、しつけなど日本の文化や生活習慣を身に付けていることが求められます。行事や季節の草花の名称や開花時期など、体験を通して学ぶには、やはり一年というサイクルが必要になりますよね。たこ揚げやコマ回し、メンコなど昔ながらの遊びができるかを見る学校もありますので、こういうことは教えるというよりその行事のときに楽しんで体験させてあげたいですね」(野倉さん)

わが子の良いところを評価してくれる学校こそ、子どもがのびのびと成長できる学校かもしれない(写真はイメージ)
わが子の良いところを評価してくれる学校こそ、子どもがのびのびと成長できる学校かもしれない(写真はイメージ)

 最近では、そうした伝統行事について親のほうが知らないことも多いかもしれない。改めて節目節目で体験していたり、それを通した家族の思い出があったりするか、なども面接などで重要なポイントになる。

 「学校によっては、目の前に昆虫を用意して、その昆虫をつかんで虫かごに移動することを求めるなどの入試を課すこともあります。普段から野山を駆け回って自然の中で虫や動物、植物と触れ合う機会をつくってあげましょう。子どもは自ずと自信をもって入試を迎えることができます。また、箸の持ち方や服の畳み方など普段の生活習慣も重視されます。そうしたことは、一日や二日で身に付くことではないので、日々の生活の中で気を付けていきたいですね」

 もちろんそれ以外にもペーパーテストや集団での行動観察の対策などは必要になるが、自然、四季との関わりを身に付ける意味でも、1年前から始めることは重要そうだ。

 気になる小学校受験のための幼児教室にも1年前くらいから通う子どもが増えるそう。しかし、働く親にとっては、教室通いはなかなかハードルが高い。

 「平日の塾通いは難しいという家庭は、土曜日や日曜日の講座を取ってもいいでしょう。実際に、最近はどこの幼児教室も週末のクラスから埋まっていくと聞いています。それに、幼児教室も必ず通わなくてはいけないというわけではありません。ペーパーテストなどにはある程度の慣れが必要ですが、教材や過去問さえ手に入れれば家庭学習だけで勉強することも可能です。一人では対策がしにくい集団での行動観察の対策などだけ講座を取ったり、直前の単発クラスを取ったりしてもいいでしょう」

 まずは、受験する学校の入試傾向を把握。それが分かったら、家庭でできるものとプロの手が必要になるものと改めて見極めるといいだろう。子どもにも親にもストレスになり過ぎない方法で、小学校受験準備のスタートを切りたい。

※データはすべて、「お受験じょうほう」調べ  

(取材・文/岩辺みどり イメージ写真/鈴木愛子)