子ども達が真珠を取り出す。親にとっても学びが多い

 メインイベントは、子ども達が実際のアコヤ貝から真珠を取り出せる「真珠の浜揚げ体験 ミキモト真珠研究所スタッフによる核入れのデモンストレーション」です。

 まず、真珠養殖で最も重要で、唯一人の手が加わる「核入れ」のデモンストレーションは、「核入れ」の腕利き、山本さんが行います。三重県英虞(あご)湾の海から持ってきたアコヤ貝を扱うので、実験台周辺は磯の香りが漂います。山本さんにメス、ハサミ、ピンセット、アコヤ貝の身体を切るための特殊なヘラなど、まるで手術道具のような道具一式を見せてもらいました。メスを使って生殖巣を開き、ピースと核をぴったりくっつけて入れる作業を、子ども達は息をのんで見つめます。

真珠養殖の最も重要な工程である、アコヤ貝に「核」と「ピース」を入れる「核入れ」のデモンストレーション。
真珠養殖の最も重要な工程である、アコヤ貝に「核」と「ピース」を入れる「核入れ」のデモンストレーション。

 次は、真珠を取り出す「浜揚げ」のデモンストレーション。このすぐ後に子ども達も「浜揚げ」を体験しますから、真珠の探し方、取り出し方を覚えなくちゃ! と、急にシーンと静まり返り、子ども達の顔は真剣そのものです。山本さんが慣れた手つきで、ぬめっとした貝肉の中から、白く光る真珠をすっと取り出します。山本さんの技術はすばらしく、とても簡単そうに見えたのですが、果たして子ども達、うまくできるでしょうか。

 ミキモト真珠研究所のスタッフがマンツーマンで指導してくれるなか、子ども達は1人1つアコヤ貝を手にして、メスを使って真珠を探し、取り出します。しばらくの静寂ののち、「出てきた!」「きれい!」と、子ども達の高い声が響きました

子ども達は嬉しそうに浜揚げしていました。大人たちも食い入るように作業を見つめていました
子ども達は嬉しそうに浜揚げしていました。大人たちも食い入るように作業を見つめていました

 最後にミキモト真珠研究所所長の永井さんが、「貝が宝石をつくるというのは、とても不思議なことです。海には、まだまだ不思議なことがたくさんあるのです。ぜひ興味を持って、東京大学で研究をして、ノーベル賞を夢みてください」と締めくくってイベントは終了しました。

 「浜揚げ」の体験直後に子ども達に話を聞くと、「アコヤ貝の中に入っている真珠をうまく探せるかドキドキしました」「暗い貝の中から取り出した時、光が当たって反射してとてもきれいでした」「貝の中から真珠を取り出すのが一番面白かったです。どのくらい輝くのかなと、ドキドキした」などの感想が。

 見守っていた親にも感想を聞くと、「親の方が興味深く、学びがありました。今日からは真珠を見たら、愛おしく感じると思います」「お金で買えない本物の体験ができて、有意義な時間でした。機会があればまた参加したいです」と、弾んだ声で話していたのが印象に残りました。

 こうした体験イベントに参加ですると、その後も学びや感動を親子で語り合える時間が作れるのではないでしょうか。

最後に全員そろっての記念撮影を撮りました。笑顔は、「チーズ」ではなく「真珠大好きー!」で、パチリ
最後に全員そろっての記念撮影を撮りました。笑顔は、「チーズ」ではなく「真珠大好きー!」で、パチリ

(文/松井一恵 写真/中島明菜)