受験に「お」が付くほど、特別だと思われてきた小学校受験。先祖代々、私立小学校に通わせてきたような家の子どもしか関係なかった時代は過ぎ、今や小学校受験は一般的なものになりつつあります。共働きで子どもを保育園に通わせながら、小学校受験にチャレンジすることも珍しいことではありません。

 「小学校受験考えてみる? それともウチの子には向かない?」――日経DUALではそんな疑問にお答えするため、小学校受験に関する企画をスタートします。1回目は専門サイト「お受験じょうほう」を運営しているバレクセルの野倉学さんに最近のお受験の傾向を聞いてみました。

 <今回のポイント>
 ●ウチの子は小学校受験すべき?
 ●小学校受験のメリットって?
 ●共働きって不利になるの?
 ●受験するなら、まず何から始める?

ウチの子は小学校受験すべき?

 「これまで敷居が高いと思われてきたお受験ですが、最近は教育熱心な家庭には『受けてみないのはもったいない』と言われるほどになりつつあります。公立小学校の学級崩壊などがニュースになるのを見て、先生や教育の質がある程度約束されている私立や国立を選択する親が増えてきたのは事実です。また、相対的に首都圏では教育に関心の高い家庭が増え、中学受験も当たり前になってきました。そこで、一般的に3年間は塾通いと準備が必要と言われる中学校受験をさせるよりは、思春期を避けて、比較的子どもをコントロールできる時期に小学校受験を終わらせて、ゆっくりと学校生活を楽しませようと考える方もいます。また高齢出産などで一人っ子の家庭も増え、一人にかけられるお金も時間も少しゆとりができ、しっかりとした教育を与えたいという思いも強くなっている傾向にあることも理由の一つでしょう」

 小学校受験する家庭が増えた理由を、野倉さんはこう分析する。

 しっかりと教育を受けてきた世代が、さらに自分達の子どもへの教育にも早い段階から良い環境を与え、将来の可能性を広げてほしいと考えているようだ。

 一都三県の首都圏の小学校受験対象の6歳(年長)人口はだいたい29〜30万人。そのうち私立・国立小を合わせて毎年1万人前後が小学校受験をしているので、首都圏では約3パーセントの受験率となる。さらに首都圏でも特に東京・港区や渋谷区などは小学校受験人口が多いという。慶應義塾幼稚舎などのブランド校や、筑波大学附属小学校、お茶の水女子大学附属小学校など志願者数が極端に多い国立小学校の所在地が山手線内の都心に集中していること、所得の高い家庭層が都心に在住していることが影響している。

志願者数ランキング<私立編> 2015年入試

 1位 慶應義塾幼稚舎 ―――――― 定員144人   応募者数 1532人
 2位 慶応義塾横浜初等部 ―――― 定員108人   応募者数 1164人
 3位 早稲田実業学校初等部 ――― 定員108人   応募者数 923人
 4位 成蹊小学校 ―――――――― 定員112人   応募者数 655人
 5位 暁星小学校 ―――――――― 定員120人   応募者数 530人

志願者数ランキング<国立編> 2015年入試(男女計)

 1位 筑波大学附属小学校 ―――――― 定員128人  応募者数 3994人
 2位 お茶の水女子大学附属小学校 ―― 定員50人   応募者数 2670人
 3位 東京学芸大学附属竹早小学校 ―― 定員40人   応募者数 2521人

 上記は、2015年入試の私立と国立の志願者ランキング。特に国立は、とりあえず受けておくという記念受験も多いため、倍率は高くなる傾向にあるそうだ。

小学校受験のメリットって?

 しかしながら、受験というからにはそれなりの準備も必要になるお受験。そこまでして私立や国立に入れるメリットとは何だろうか?