「ママ、ママ」だった虎が、いきなり「パパじゃなきゃ嫌」に

 「パパと寝る~!」

と息子、虎(息子・2歳)が言い出したのは、半月ほど前。これまでは基本的に私が寝かしつけ担当で、「ママじゃなきゃ嫌~」だったのに、突然の変わり様。

 「なんで、ママじゃだめなの?」
 「パパがいいの」
 「じゃあ、ママはどうすればいいの?」
 「お仕事して」
 「どこで寝ればいいの?」
 「ママは下(の階)で寝て」
 「虎はママがいなくなっちゃっていいの?」
 「ママいらない」

 ちょっとちょっとあんまりじゃないの。せめて、一緒にベッドで寝かせてよ。今までさんざん「ママ、ママ」言ってきたくせに、パパがよくなった途端にそれはないんじゃないの。仕事してなんて、傷つく。そんな言い方ひどいんじゃないの。涙が出てくるじゃないの……。いやいや、本当に悲しくて泣いてるわけじゃないわよ。ここは、言葉で人を傷つけることもあると教えるために、ホロホロ涙を流してみてるのさ。いや、断じて本気で悲しくて泣いたわけではない。

ママの涙を見た虎は、顔をゆがませて大大号泣

 そんな私の心の中の葛藤を知ってか知らずか、息子の目が見開かれ、動きがピタッと止まり、固まった。次の瞬間、顔がクシャッとゆがみ、大大号泣。涙と鼻水でこれぞ、滝のように流れるってやつか。涙がこんなにも効果を発揮したのはいつ以来だろう? 泣いてもスルーされるか、マイナスにしか働かないようになってからの月日のほうが長い私としては、息子の反応は新鮮だった。

 うちひしがれて私が自分の部屋に去ってからも、息子の大号泣は続く。「ママが~ママが~」と言葉にならない声を発しながら泣いているようだ。夫がなだめてもダメな様子。それほど、ショックだったのか。でも、私のほうがもっとショックだったから、しばらくそのままにしておく。

 その後小一時間がたって、泣き声がだんだん小さくなり、そして静かになった。さすがに、泣き疲れて寝たか。と思ったら、夫に伴われて息子が私の部屋にやってきた。