認定NPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹さんと、これからの社会をより住みやすい場所にしていくためにできることを考える連載「DUAL世代が社会を変える」。今回は、小さい子ども連れのママ・パパが肩身の狭い思いを余儀なくされる日本社会について、駒崎さんが思うところを語ります。

完全なる“マイノリティー”であるがゆえ

 こんにちは。認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹です。この連載では、共働き育児中のDUAL世代にとって希望を持てる社会をつくるために、僕が大事だと考えるアクションや意識の持ち方についてお話ししています。

 都会で子育てをしていると、「肩身が狭い」思いや「居心地が悪い」思いをすることはありませんか? 「満員電車にベビーカーを乗せる是非」についての論争が巻き起こっていたり、「子どもの声がうるさいという理由で保育園建設反対運動が起きた」という報道があったり。こんな話を聞くたびに、僕はまだまだ日本は成熟していないなと思います。

 同時に、そうなるのは当然だなとある種の合理性を感じます。

 なぜ合理的かというと、今の日本社会において、子育て中の世代は完全なる“マイノリティー”だからです。高齢化が進む中で若者の割合は減り、現状の合計特殊出生率も1.42と乏しい数字。社会環境は「多数派が満足すればよし」というゴールを目指してつくられていくので、“少数派”である子育て中の世代が満足するようにはつくられていかないのが自然のなりゆきとなるわけです。

 だから、道路はベビーカー同士が通れないほど狭かったり、子連れでゆっくりと過ごせる店を探すのが大変だったりと、とにかく「不便」を感じやすい生活になる。結果、ますます少子化する……と悪循環に陥るわけですが。

 選挙においても、マジョリティーである高齢者を満足させる政策提案が歓迎されているという現状は以前もお話しした通りです(「保育園の待機児童対策はなぜ遅れたのか?」「病児保育を阻む政策と『母親が看るべき』の呪縛」)。

 しかし、子育てを応援しない社会環境を改善せずにこのまま少子化を加速させていくと、日本という国の経済成長も社会保障もお先真っ暗となることは明らか。何とかしないと、非常にマズイ。では、どうしたらいいか。やるべきことは一つ。マイノリティーである僕達こそが声を上げるべきなのです。

 マイノリティーが声を上げた結果、日本社会を大きく変えたという成功例についてお話ししましょう。