自分が暮らす地域に“色”や“匂い”が付いてくる

 男がもっと地域とつながって、子どもを身近に感じないといけない。DUAL読者の男性陣にはぜひ「親父の会」「パパ友の会」を結成していただきたいです。ただの飲み会でいいので、とにかくつながってみる

 そんな話をしていたら、DUAL編集部から「でも駒崎さん、パパ同士ってせっかく会わせても仲良くならないんですよ~」と不満が挙がりました。おっしゃる通りです。男は苦手なんですよね。つながるのが。

 保育園で観察していると、女性達はママ友づくりがとても上手です。春の入園式、クラスごとに子ども達と親が振り分けられた瞬間から、初対面同士にもかかわらず巧みに関係性づくりが始まります。まずは無難な天気の話、次に保育園の行事の持ち物確認など当たり障りのない情報交換からコミュニケーションを重ねていき、打ち解けてきたところで個人的な話にも突っ込んでいく。これ、ものすごい社交の技術だと思います。

 男はどうかというと、初対面同士で隣に座っても「あ、どうも」くらいの挨拶で終わり。仕事で“肩書き”や“役割”を与えられたら生き生きと動けるのに、“何者でもないオレ”だと動けないんです。ただの「親睦会」で座らされるよりも、バーベキューで「ユキちゃんのパパとソウタ君のパパは火をおこす係ね!」と役割を与えられるほうが楽なんですよね。

 僕もそうだったんですが、たまたまラジオの仕事でご一緒した担当の人が、子どもの同級生パパだったことがきっかけで、父親だけの飲み会をやってみました(相変わらず、開催日のスケジュール調整はママ頼みでしたが……苦笑)。そして親睦を深めてみた結果、酒という媒介の力も手伝って思った以上に楽しく、「半年に1回くらいは集まりましょう」という話になっています。

 親同士がつながることで、自分の子ども以外の子ども達の存在がとても身近になっていくんですね。自分が暮らす地域に“色”や“匂い”が付いてくるような感覚で、より愛着を感じられるようになりました。

 社会への関心を高める第一歩は、自分の身近な地域と接点を持つことなのだと、改めて実感しました。

(文/宮本恵理子 撮影/鈴木愛子)