自由研究は子どもではなく親がやるもの。思う存分肩入れすること
自由研究は「親がやって親が楽しむ」くらいでちょうどいい。大げさですが、「お父さんの自由研究だからお前も少しやっていいよ」っていうような視点が必要なんです。子どもに任せっきりにするのではなく、親と一緒にやるのが自由研究だと考えています。
自由研究は「子どもの自主性」という面でも話題にあがりますが、それはまた別の機会に考えるとして、先に述べたように自由研究は親子で素朴な疑問に取り組むものなんです。ここはひとつ、親子が時間を作れる夏休みにしかできないことをぜひやって欲しいですね。みんなで食卓でご飯を食べながら作戦会議をやるのもいいかもしれません。
──そういう面では自由研究は子どもの興味を伸ばしてあげるという環境づくりの導入になるというところですかね。
そうです。子ども達って日頃からいろんな疑問をもって生活しているんですよ。ところが、これをやっていたら塾に遅れてしまうだとかテストで点が取れないだとかそういう制約がいっぱいあるわけで。それが、自分の心のかさぶたみたいになって疑問と向き合うことを邪魔してしまっている。だから、子どもがそういう小さな疑問を見つけたら、それを探求できる環境にしてあげるということが大事なんです。
たとえば、子どもが「お父さんって会社でなにやってるの?」という疑問を投げかけたとき、きちんと答えていますか? 面倒くさがらず、子どもの疑問には真摯に答えていってあげてください。大人がいいかげんな対応をすると、子どもも「ああ、そうか。これは面倒くさいことなんだ」と、興味をもつことを放棄してしまいます。
そして、もう一つ。忘れてはいけないのが、大人自身がそういった小さな疑問に対して興味を持つこと。ついつい子どものことだと思ってしまいがちですが、そうではなくて、ライフスタイルを考えるときに、何に対して疑問を持つかってとても重要ですよね。だから、意識的に興味を持ってあげて、子どもと一緒にやってみる。自由研究を子どもに興味を持たせるきっかけにするのではなくて、大人自身が興味を持つきっかけにしてください。そうすれば子どもの持つ可能性は格段に広がっていきます。自由研究はそのための良い機会だと思います。
いかがでしょうか。自由研究の目的、テーマの選び方、参考になりましたか。次回はより具体的に、親子で取り組めるインスタント実験について話を聞きます。どうぞお楽しみに。
(取材・文/かみゆ 写真/猪又直之)