得られた結果に対して自分なりに工夫することでクオリティは高まる

──とはいっても、なかなか時間がかけられないのが実状です。夏休み終盤のこの時期から始めた自由研究のクオリティを高めるために、効果的な方法はありますか。

 そうですね。先ほど、自由研究は時間をかけてやって欲しいといいましたが、時間をかけずにできる、いわばインスタントな実験もたくさんあります。時間がないときはそういう実験を行うのも手です。ただ、インスタント実験であっても、得られた結果だけでなく自分が行った工夫を重視することが大切なポイントだと考えます。

 というのもある事柄を自分なりにどう学ぶかとか、学ぶために何を考えるかは、学校の授業とは異なる重要な学びです。「調べる」という行為に「考える」という行為を伴わせることでぐっと意義深くなるのです。

 ということは、調べた情報を自分なりに評価したり、書いてあることについて自分で解釈をして、推論することに重点を置けば、クオリティの高い自由研究になるということです。

──「調べる」ことよりも「調べたその先を自分自身で考える」ということが大事というわけですね。

 はい。考えるというのは論理的な思考や推論のことをいいます。なんだか小難しく聞こえるかもしれませんが、でも実はこれ、生活の中でも日常的にやっている行為なんです。どういうことかというと、よりよい環境を作るための工夫だとか、より豊かな生活を送るための方法を見い出すというようなものを指します。

 たとえば、料理をするときに「昨日作ったチャーハンは辛すぎたから今日はお塩を控えよう」と考えたりするわけじゃないですか。それは、塩分量を控えた場合、どういった味の変化が起こるかということを、考えて研究しているといえる。あれがダメでこれもダメだったからこうするのがいいんじゃないかということを筋道を立てて考えていくことが科学の方法です。

 そうやって、どういうふうに考えたらよいかを考えることも勉強です。そういった学習は学校教育では行いづらいのですが、家庭教育でなら効果的に行えるので、ぜひこの機会に挑戦していただきたいですね。

──自由研究は、親の協力が必要になる場合も少なくありません。どこまで手伝ってあげるのがいいんでしょうか。

 その認識、実は逆なんです。