こんにちは。女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳です。昨年9月に『「育休世代」のジレンマ』という本を出版しました。「育休世代」というのは、2000年代に入り、大企業の新卒採用に占める総合職女性の割合がかなり増えてきてから入社した世代のこと。本の中では、育休や時短などの制度がある程度整ったがゆえに、育児のほとんどを自らの手でやろうとしてしまい、仕事のやりがいを確保することとのバランスに女性達がモヤモヤしてしまう現状を描いています。
 この連載では、本で分析した人達の周辺にあるジレンマに幅広くスポットを当て、座談会形式でヒアリング、分析していきます。今回は座談会で「育休世代の上司のジレンマ」に迫ります。

【座談会参加者プロフィール】
Nさん 50歳、女性。国立(経)卒。地方自治体職員、部長職1年目
Oさん 40歳、男性。私大(社)卒。食品メーカー、部長職2年目
Pさん 37歳、女性。私大(法)卒。MBA→コンサル→日系出版関連→IT広告代理店、部長職3年目
Qさん 51歳、男性。私大(理工)卒。証券会社→金融ベンチャー→金融機関、部長職4年目

育休、時短社員を抱える管理職の悩み

中野円佳さん(以下、敬称略) 皆さんのお仕事の内容と部下の構成を教えてください。

Nさん(以下、敬称略) 公務員で4月から部長職になりました。職員は60人ほどで、課が3つあります。部下の約半分は女性ですね。それほど激務とはいえない部署なので、子育てしたいから希望してくる人がいて、一番多いのが40代の女性。育休中が2人、時短が4~5人。高校出て3~4年目の20代前半から再雇用の70代まで、まさに3世代職場です。今私の仕事は自分で何かをするというよりは、全体の進行管理をやっています。

 家族は夫と子どもが2人おりまして、上の子が生まれたときに、生まれて半年で復帰して管理職になりました。最初のポストは部下のいないスタッフ職でしたが、実家と職場の皆さんにも助けていただいて管理職をやってきたと。今も実家の近くに住んでいて、実家に助けてもらいながらやっています。

Oさん(以下、敬称略) 食品メーカーで営業企画という、女性に人気の部署にいます。部下が30人弱で、うち8割が女性です。割と楽しくやらせてもらっていますが、20~40代の年齢層が多く、育休中が1人、今度産休に入るのが1人、時短が2人。周りがカバーし合いながら、なんとか働いています。自分は35歳のときに結婚して、嫁と2人で楽しくやっています。

Pさん(以下、敬称略) ネット広告代理店に勤めていまして、事業部長をしています。部下は約20人です。ネット系は平均年齢がすごく若くて、30代で部長になります。私の部署では部下は20代がほとんど、男女半々ですね。年上もいまして、40代の方も3人くらいいます。今育休中とか産休中の方はいないんですけど、子育てを奥さんよりもかなりやってる男性が1人いて、18時には毎日帰っています。私は独身です。

Qさん(以下、敬称略) 金融機関で顧客向けに資料を作って発信する部署で部長をしています。私のグループは部下が約10人で産休中はいないんですけれども、時短が1人。女性は会社全体では4割くらいですが、うちのグループは6割が女性です。金融業界は2007年に金融商品取引法が大幅に改正されて、そのときに相場がよかったということもあって、急激に中途採用を増やしたんですね。特に女性が一気に増えて、ちょうどその方々が出産~育児に入ってきているような印象です。

 私自身は今の会社は3社目で、以前新卒で入った証券会社にいたとき、結婚して子どもを持ちました。両親が両方とも地方ということもありまして大変でしたね。私は大体出社するのが朝5時半とか6時で、一方で、うちの妻が音楽関係の仕事をしていたので、妻が保育園に迎えにいって、二重保育で託児所に預けにいってから練習へ行き、私が託児所に迎えにいくという形で2~3年は結構大変だった記憶があります。

中野 管理職として、休む人や色々な働き方の人が出てくるとどんな大変さがありますか?

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