飢餓を防ぐ一番の方法は平和を守ること

 食糧の生産量は、人口増加をしっかりフォローして増えています。今の地球には食糧が余っていると言ってもいい状態です。しかし、それでも満足に食べられない人が大勢いるのが現実。国連が発表している「世界の食料不安の現状2015年報告(SOFI)」によると、世界の飢餓(長期間にわたって食べられず、栄養不足となり、生存と社会的な生活が困難な状態)人口は7億9500万人、国連食糧農業機関(FAO)などが公表した報告書は、開発途上地域では栄養不足(健康的で活動的な生活を送るための十分な食料を継続的に入手できない状態)人口が12.9%に上ることを明らかにしています。これは食糧問題というより「貧困問題」。富の偏在は食糧の偏在に直結するということでしょう。

 川島さんは、飢餓状態を引き起こさないために平和を守ることの大切さを強調します。

 「ひとたび戦争や紛争、災害が起きれば、着の身着のままで逃げ出した人が難民になり、食事もままならない状態に追い込まれます。そんな事態を防ぐ一番の方法は、争いを起こさないこと、平和を保つことです。戦中戦後の一時期、日本人が飢餓に苦しんだことの決定的な理由も、自給率うんぬんではなく『戦争をしたから』にほかなりません。世界の流通から外されてしまうようなことにならないように、諸外国との友好関係を維持する必要があります

飢餓状態を引き起こさないためには、平和を守ることが大切
飢餓状態を引き起こさないためには、平和を守ることが大切

(取材・文/手代木建 イメージ写真/鈴木愛子)