世界の子どものために寄付するというお金の使い方

 「無駄遣いをあまりしなくなっただけではなく、お金の使い方には色々な方法があるということに気づいたようです。必要のないものを衝動的に買うのをやめたりした、ちょっとしたお金で、貧困に苦しむ子どもたちがご飯を食べることができたり、安全な水を飲むことができたりするということを、少しずつですが理解してきたことがとても嬉しいですね」(加奈さん)。

 ひと口に貧困といっても、その定義はひとつではなく、国や機関によって異なる。世界銀行は、国際貧困ラインを1日1.25ドルと設定しており、現在世界では、その額未満で生活する人々が、12億人以上いると推定されている。

世界では5人に1人が1日1.25米ドル未満で生活している
世界では5人に1人が1日1.25米ドル未満で生活している

 1950年に設立され、現在では、約100カ国で、政府・国連等と連携し、子どもたちが健やかに成長できる世界を目指して活動している国際NGO、ワールド・ビジョン。チャイルド・スポンサーシップは、1人のチャイルドを対象にしたお金や物の提供ではなく、地域の人々とともに子どもの健やかな成長のために必要な環境を整えているのが特徴だ。

 例えば、カンボジアの支援地域では、水衛生プロジェクトにより、きれいな水が利用できるようになり、下痢やデング熱、その他水に関する病気が減少、子どもたちの健康が改善されている。学校にも簡易トイレやポンプ式井戸、浄水フィルターなどが備えられ、学ぶ環境も改善された。

 また栄養プロジェクトでは、子どもたちの食事の量と質が大幅に改善されるだけでなく、新しい米の栽培技術により、農家の米生産量も増産でき、家族の収入向上にもつながっている。経済的に余裕ができた家族は、子どもたちを毎日学校に通わせることができるようになっている。

 「子どもが“今、自分が置かれている環境に満足する”というのはとても難しいと思います。住む家があり、水とごはんがあり、安全に学校に通える毎日。“当たり前のようだけど、実は世界ではとても貴重なこと”と、いくら言葉で説明しても、なかなか理解しづらかったようです。でも、チャイルド・スポンサーシップを続けることによって、世界には様々な困難の中、がんばって生きている子どもたちが多くいることを知り、息子もだんだんと変化してきました。また、世界には色々な人がいて、様々な価値観があること、日本との違い、自分の置かれている環境を客観的に観る目も養われたと思います」(加奈さん)。

 「大きくなったら何になりたい?」という質問に「ワールド・ビジョンのような団体で世界の子どもたちのために働く人になりたい」と答える和樹君。サンジャ君との交流を通じて、将来の夢も変わってきたようだ。

 加奈さんは、「チャイルド・スポンサーシップは、デュアラーには、ぜひ親子で始めることをおすすめしたいですね」という。その主な理由は3つある。1つは、子どもがグローバルな視点を持てるようになり、さらに働いている親と共通の話題が持てるようになること。2つめは、お金の大切さを学べること。そして3つめは、自由研究や総合的な学習の教材としても最適であることだ。「寄付をして社会貢献できるだけではなく、我が子の将来にとっても良い投資になると思います」と、加奈さんは語る。

いっしょに幸せになろう。チャイルド・スポンサーシップ
いっしょに幸せになろう。チャイルド・スポンサーシップ

(文/永浜敬子、写真/阿部修一、ワールド・ビジョン提供)

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