アメリカはアウトソーシングが進んでいるというイメージがありますが、働いている両親たちはアウトソーシングをどう利用しているのでしょう。米国での生活が20年を超え、日本で暮らした期間より長くなったという二児の母、クローニン真木さんに自分の体験も踏まえて教えてもらいます。まずは夏休みの子育てアウトソーシングです。

2カ月もある夏休みをどう過ごすか

 DUAL夫婦の永遠のテーマといえば、仕事と家庭(子育て)の両立。当コラムでは今までにもアメリカの企業や地域によるDUAL夫婦へのサポートをご紹介してきましたが、今回からは、数回にわたり「家事や子育てのアウトソーシング」というテーマを取り上げたいと思います。今回は、夏休み中における、子育てアウトソーシングについて、です。

 アメリカの学校の夏休みは、日本と比べてとても長いです。大体6月上旬/中旬~8月下旬/9月上旬といった期間でしょうか。これ、子どもには嬉しいのですが、働くお父さんお母さんにとっては、まさに試練の期間。長すぎで、正直うんざりしてしまう親だってたくさんいます。

 そう、子ども達がお休みでも、親は仕事はそんなに長期間は休めません。出来ても2〜3週間が限度です。けれども子どもは、まだまだたっぷりと夏休みをエンジョイしているという……(涙)。こんな時、アメリカの働く親はどうするのか。

 いくつかの選択がありますが、人気なのが「サマーキャンプ」と「ベビーシッター」です。

NBAやMLB主催のサマーキャンプも

 サマーキャンプと聞いて、まず思い浮かぶのが、キャンプ場で集団の野外教育を通して、子どもの好奇心や独立心を育てる、という趣旨のもの。確かにこれがサマーキャンプの語源となっているもので、一番伝統的なスタイルです。しかし、現在ではサマーキャンプと呼ばれるものの中には、実にいろいろな種類のものがあります。

サマーキャンプでは、デイトリップと言って、遠足みたいに動物園に行ったり、プールに行ったりもします
サマーキャンプでは、デイトリップと言って、遠足みたいに動物園に行ったり、プールに行ったりもします

 まず、小さい子どもたちが参加するサマーキャンプ(場合によっては3~4歳児から参加できるものもあります)は、泊まりがけでは行われず、朝会場に子どもを連れて行き、午後になったら迎えに行くというスタイルが一般的。これらはデイ・キャンプとも呼ばれます。まだまだ小さい幼稚園児では、泊まりがけというのは親も子も不安ですから、こちらのほうが安心して子どもを預けられるのでしょう。会場は、教会や地域のカルチャーセンター、または夏休みで使われていない幼稚園や学校などです。

 なんとなくキャンプというより、通常の幼稚園の延長といった感もありますよね。まあ、確かにそうなんですが(笑)。でも、働く親には助かるんです!

 子どもがもうちょっと大きくなると、スポーツをメインにしたキャンプ(スポーツ・ジムや、MLBやNBAといったプロのスポーツ団体が主催)、演劇やダンス(地域のシアター・カンパニーや、バレエ団などが主催)、そしてお勉強系(高校や大学が主催)といった様々なキャンプが提供されます。楽しみながら、子どもの技能を高めていく、という一石二鳥的な専門サマーキャンプが子どもにも大人にも人気のようです。

 こういったサマーキャンプの対象は小学生から高校生まで幅広いのですが、年齢が上がれば上がるほど、キャンプの内容も高度になっていきます。参加するにもある程度の技能や能力が必要とされて、参加前に試験やオーディションを受けなければ入れないキャンプなどもあるようです。

 こうしたサマーキャンプの費用ですが、デイ・キャンプが一番お手頃で、1週間(週日の5日間)で150~250ドル程度。これが専門的なサマーキャンプになると1週間で600~2,000ドルと、大幅に跳ね上がります。安くないです(汗)。

 それでも、サマーキャンプは毎年大人気。早いところでは新年早々にその年のサマーキャンプの申し込みが始まり、ノンビリしているとすぐに予約が一杯になってしまうのです。