※DUAL特選シリーズとして、2015年8月の記事を再録してお届けします。

子どもの病気や感染症など、共働き家族が乗り越えるために知っておきたい情報を解説する「共働き家庭の子どもの病気講座」。今回のテーマは「熱中症」です。子どもが熱中症になったときの受診の目安は?救急車を呼ぶのはどんなとき?など、役立つ情報をお届けします。熱中症の症状が急速に進んでしまう子どもの場合、早い段階から経口補水液で水分補給をすることで、深刻な状況を防ぐことができます。

 阿真京子です。暑い毎日が続いています。子どもの合宿に少しだけ同行しましたが、かつての合宿と明らかに異なる気温の中での激しい運動……。「熱中症は死に至る可能性のある病態(病気)であるが、予防法を知っていれば防ぐことができること、適切な応急処置を知っていれば救命できること」(環境省ホームページより)であることを忘れず、予防できることは予防し、そのうえで安全に楽しむことをモットーにしたいと思います。

 この暑い日本で、たくさんの人が少しでも正確な知識を身につけておくことで、危険な目にあう子どもが減るようにと願っています。

(写真はイメージです)
(写真はイメージです)

 全国で、7月20日~26日までの熱中症による全国の救急搬送人員数は7392人で、前週に比べ1162人増加しました。(数字は速報値。総務省消防庁ホームページより)。救急搬送者の多くが高齢者ですが、乳幼児は熱中症の背景にある脱水症になりやすく、進行も非常に速いので、脱水のサインに早い段階で気づき、対策をとることが熱中症対策に有効です。

 初期の段階なら、経口補水療法で対応できると聞きます。真夏を元気に乗り切るために、親として知っておきたい情報をまとめました。

脱水症予防=熱中症予防。子どもは脱水症になりやすいので早めの水分補給を

 実は、熱中症の背景には脱水症があります。高温の環境で体を動かすと、体温が上がり、体温を下げるために発汗が起こります。汗は蒸発するときに気化熱を奪うため、打ち水効果で体温を下げる働きがあります。しかし、発汗で体液が失われると、水分不足から栄養素、酸素、老廃物の出し入れが滞り、電解質の不足から障害が起こります。

 さらに発汗が続いて体液が失われると、体はそれ以上の体液が失われることを防ぐために発汗にストップをかけます。すると、汗で体温を下げられなくなり、体温が上昇して障害が起こります。最も影響を受けやすいのは脳で、痙攣や意識障害が起こることもあります。

【熱中症のメカニズム】

 子どもは体温調節機能が未発達なうえ代謝が活発で、大人が気づかないうちに体の水分を失っていることがあり、急速に脱水症が進行します。

 脱水症の初期症状とはどんなものなのでしょうか、また、どんな点に注意すればいいのでしょうか。