【西村則康先生のアドバイス】
全体的に女子御三家の入試で言えることは、男子御三家などの難関校と比べても、国語の問題の難易度が非常に高いということ。例えば、桜蔭の国語の入試には、「虚構の美とは何か」「物質の堅牢性のなかに記憶の継承の保証を求めた」などの抽象的観念的な表現が多数あり、一般の小学生のレベルをはるかに超える語彙力と表現力が求められます。また、記述問題も多いので、それらの対策をしっかりしていかなければなりません。

算数は奇問というよりは、複雑な式を手際よく解いていくといったスピーディーさが重要となります。それが顕著に表れているのが、女子学院の算数です。また、桜蔭の文章題ではやや長めの設定をきちんと読み取り、うまく整理して解く問題がよく出題されます。また、「すべての場合を調べ上げる問題」もよく見られます。

理科・社会については、国語や算数ほど難易度は高くありませんが、幅広い分野の内容が出題されるので、まんべんなく学習する必要があります。また、難問ではないけれど、試験時間に対して問題数が多いので、すばやく答える訓練をしておく必要があります。

高学歴の先にある将来は「研究職」「キャリア」「教養のある婦人」

西村則康先生
西村則康先生

 さて、そんな難関入試をくぐり抜けてきた才女達は、将来どんな女性になるのでしょうか? 西村先生に聞いてみました。

 「中高の6年間は、10代の多感な時期と重なるため、そこで出会った先生や先輩、仲間の存在が将来に大きく影響を与えます。そういう点においても校風はとても重要です」

 「女子校として全国で最も東大合格者数を出している桜蔭は、勤勉で向上心のある子が集まる学校です。卒業生の進学先を見ても、東大理系や国立大学医学部へ進む子が多いのが特徴。ただし、医師を目指すよりも大学病院で研究を続けるタイプの人が多いというのも、学ぶことが好きな桜蔭生らしさと言えるでしょう」

 「女子学院も多くの生徒が医学部へ進学します。桜蔭生と違うのは、キャリア志向が強く、医師を目指す人が多いこと。また、自分のやりたいことを目指す人が多いので、産婦人科や小児科など色々な分野で活躍しています。また、企業などでキャリアを目指す人も多くいます」

 「一方、雙葉はキャリア教育には力を入れていないため、バリキャリ志向の子が少なく、ボランティア活動や子育てに専念するなど、“教養のある婦人”を目指す人が多く見られます(笑)。もちろん、すべての人がそうであるわけではありませんが、中高の6年間をどこで過ごすかというのは、男子校よりも女子校の方が影響力は大きいでしょう」

 次回は大学付属校のメリットとデメリットについて迫ります。

(撮影/稲垣純也、鈴木愛子)