人生を豊かにするためには、“いくつもの顔”を持つことって大事

羽生 ご自身のお嬢さんたちの進路については、どんなふうにお話されているんですか?

行正 私が英語というたった一つの興味から世界が開けたように、広く興味を育てる機会に出会って、好きな道に進んでほしいと思います。長女は「アートの道に進みたい」と行っているので応援しています。アートだけだと厳しいかもしれないから英語もやったほうがいいよ、とはアドバイスしていますけど。次女は小4でこれからですね。

羽生 今、行正さんの人生時計は午後4時を回って、いよいよ楽しい時間が始まる頃を迎えていらっしゃいますね。これからどんなことに挑戦したいと考えていますか?

行正 引き続きやっていきたいことは3つあって、一つは日本食を海外にプロデュースすること。もう一つは、忙しい女性たちに合理的な料理の方法を発信すること。そして、子どもも大人も楽しめる教養コンテンツの提供。欲張りですが、これでもやっと絞ったんです(笑)。私は人生を豊かにするためには、“いくつもの顔”を持つことって大事で、経済面でのリスクマネジメントにもなると思っているんです。

羽生 「定年」という感覚はなさそうですね。

行正 はい。生きている限りは働いていたい。働くって、誰かに「ありがとう」って言ってもらえることだから。でも、若くて優秀な人はどんどん生まれるわけだから、常に「今の私ができること」を冷静に見極めなければ。自分で自分のポジションをクリエイトしていく意識を持ち続けたいと思います。

羽生 しなやかに、そして、マッチョに。絶妙なバランスのとり方を示していただけました。ありがとうございました。

(取材・文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子)

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