大学生が共働き家庭に入り、子育て支援を行うインターンプログラムの「ワーク&ライフ・インターン」。スリールが運営するこのプログラムは、DUALでも何度か取り上げてきました(関連記事「固定概念をくつがえす子ども預かりサービス続々登場」)。

 今回の記事では、学生たちが4ヵ月間のプログラムを通して学んだことを発表する「最終プレゼンテーション会」の様子をリポートします。働く家庭での子育て体験を通して、学生たちはどんな気づきを得たのでしょうか。また、共働き家庭における課題を解決するために学生たちが知恵を絞った「10年後をより笑顔にするためのアイデア」でも、興味深い具体的なアイデアが聞かれました。

学生の将来の悩みについて社会人も真剣に考える

 「ワーク&ライフ・インターン」の特徴の一つに、子どもを預かる大学生と訪問先家庭との交流の時間があります。学生は、訪問先家庭の母親・父親にその日の活動報告をすると共に、自分の進路の悩み、社会人生活への不安などを話し、相談することができるのです。母親・父親にとって、仕事を終え帰ってきた後で学生たちの話を聞くのは一見、大変なこと。でも、学生たちが自分の将来と真剣に向き合い、子育て体験を通じてどんどん成長していく姿を間近に見ると、逆に元気をもらうことが多いのだと言います。

 このプログラムでは他にも、若手社会人が学生の相談に乗る「メンター制度」や、企業の社員と共同で学ぶ「キャリア勉強会」など、社会人と学生が交流する機会が多く設けられており、これまで多くの社会人が学生の成長を支援してきました。

 スリールのアンケートによれば、「ロールモデルが身近にいる」と答えた学生はインターン前の4割からインターン参加後は8割へと大きく増加。「社会に出るのが楽しみ」という回答も、6割から9割まで増加しています。なぜこのような変化が生まれるのでしょうか。

 「最終プレゼンテーション会」の取材を通じて、インターン生の成長の過程や、考え方が変わっていく過程を知ることができました。

サイボウズ青野社長「この世代から空気をもっと明るく変えていって」

サイボウズ代表の青野慶久さん
サイボウズ代表の青野慶久さん

 6月27日に東京・虎ノ門で行われた最終プレゼンテーション会。40名のインターン生(女性36名、男性4名)のプレゼンを見守るのは、受け入れ家庭やそのOB・OG、社会人メンター、応援企業の社員など60名以上の社会人たちです。休日にもかかわらず多くの社会人が集まるのは、学生たちへの期待の表れ。当事者になる前から学生が「子育て」や「働くこと」に関心を持ち、気づきを生かして社会に出ていけば「子育てしやすく、働きやすい社会」を実現する原動力となっていくはずです。

 「応援企業」としてスリールの活動をサポートしているサイボウズ代表の青野慶久さんも、会の冒頭でスピーチをし、学生たちへ次のようなエールを送りました。

 「日本の少子化は、ワークライフバランスが崩れたままになっていることが原因です。男性の育休取得率は、たったの2.3%という状況ですが……ぜひこの世代から、空気をもっと明るく変えていってください。機運は高まってきているから、もう一息。皆さんが『社会を変えるんだ』という決意を持って、頑張って」