退職後に行く場所はありますか?

 人生80年の時代ですから、定年退職後に20年もの時間が残されています。0歳児が成人するまでと同じ長さです。これだけの時間を有効に活用するためにはどうすればいいのでしょうか。

 僕が講師を務めた定年退職者向けの市民講座に参加してくれた男性が、仕事を辞めた後に大切なのは「きょうよう」と「きょういく」だと教えてくれました。「きょうよう」は「今日、用がある」、「きょういく」は「今日、行くところがある」を略した言葉です。「きょうよう」と「きょういく」を持たない定年退職者は、無料で冷暖房完備の図書館やデパートのベンチで一日を無為に過ごしています。

「きょうよう」と「きょういく」は、この方のオリジナルの言葉ではありません。実は、テレビやラジオなどのメディアでもけっこう見聞きしますので、定年後の生活を自分の問題として考える際の指針としてください。仕事はあくまで80年という人生の中の一部です。この機会に確認してみてください。仕事が無い日に、用事や行くところはありますか。仕事関係以外の知り合いはいますか

 ママやわが子と過ごす時間を増やすために、ワーク・ライフ・バランスが大切だと考えているパパがいるかもしれません。それは間違いではないのかもしれませんが、パパ達は第一に自分自身の人生のために仕事中心の生活を見直す必要があるのです。孤独な定年後を迎えないために、今から会社以外の居場所づくりを始めましょう。