「ウィメン・イン・ビジネス・サミット」を主催した在日米国商工会議所(ACCJ)のジェイ・ポナゼッキ会頭は、自身も国際的な商取引案件を扱う弁護士として活躍するキャリア女性。彼女自身の経験もふまえ、女性リーダーが活躍する社会をどうめざしていくべきか、羽生祥子編集長が聞きました。

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女性管理職の30%目標、不可能とは思っていない

――日経DUAL羽生編集長 私達の読者は主に母親ですが、35%は父親です。女性リーダーが活躍するために、男性リーダーがすべき重要なことは何だと思いますか。

ポナゼッキ会頭(以下、敬称略) 「変革を担う男性リーダー」というテーマで行われた「ウィメン・イン・ビジネス・サミット」の昼食講演会では、トップがイニシアチブを取ることの意義が伝わったと思いますし、私もまさにそれが重要だと考えています。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンのデイビッドさんは、情報交換をきちんとすること、モチベーションを上げることが重要だとおっしゃっていました。たとえば外部でいいアイデアを見つけたら、それをきちんと持ち帰り、自社でも実行できる形に落とし込むことが大切だと。そのためにはさらに透明性も必要だと思います。透明性をもって女性が活躍する場をつくっていく施策を打ち出し、実行することができれば、それによってモチベーションも上がり、全体が進んでいくのです。

 人々が集まって情報共有をし、現状の課題を乗り越えていくためのベストプラクティス(最善の方法)や、知識の共有をしていく。これはまさに我々商工会議所が進めてきた柱に沿うものです。これによって、2020年までにマネージメントあるいは取締役レベルまでにおいて、女性の割合を30%まで増やすという目標にも近づくことができます。

羽生 女性の活躍を推進するうえで「健全な競争」はキーワードの一つになると思います。しかし正直言ってそれは簡単なことではありません。女性管理職の30%達成というのは、実際のところ日本企業において可能だと思いますか。

ポナゼッキ 現実にはもちろん色々な課題がありますが、目標を設定することによって、日本企業が自社の中で最大限の努力をすることが重要なのです。安倍首相が成長戦略の中でウーマノミクスをうたってからまだそれほど時間が経っていません。それを思えば非常に色々な努力が出てきているし、希望が持てると思います。我々としてもどんどんサポートしていきたいです。

 消費者の半分は女性であり、企業においてはデザインにしろサービスにしろ消費財にしろ、女性を抜きにして考えることはできないという流れになってきています。それに加えて日本は女性の教育レベルが非常に高い。教育を受けた女性のプールがあるということが、今後女性リーダーを増やしていく準備にもなるし、今起こっている他の変化と合わせると、おそらく2020年までの目標達成は不可能ではないと私は思っています。