家事支援や学童延長で、もっと女性がキャリアを追求できるように

ポナゼッキ 昨年内閣府が行った世論調査によると、49.4%の人が「女性は家事をし、男性は外で働く」ということに反対だそうです。たかだか50%と思われるかもしれませんが、2年前の2012年の同じ調査に比べると4.3%上がっている。これは非常にポジティブに受け止めるべきです。

ウィメン・イン・ビジネス・サミットには国内外の女性リーダーや、リーダー予備軍が集まった
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 日本には社会的、構造的に「女性は家庭」という発想にさせてしまう要因がありました。その一つは女性が必要な支援を受けて来られなかったことだと思います。キャリアを追求したいけれど、家庭の中まで誰も支援をしてくれなかったという現実がある。ACCJではこれを解決する一つのアイデアとして、外国人の家事労働者を受け入れることを提案しています。移民法の改正が検討されていて、特区の一部では試験的に始まっています。我々としては特区以外でもこの制度が成立できるように進めたいと考えています。

 もう一つは学童に関する制度整備だと思います。小学1年生から3年生は学童の対象になるが、4年生になって急に預けられなくなるということは、キャリアを選ぶことを難しくします。我々が学童の年次を6年生まで延ばすことを提案したところ、政府がその方向で動いてくれたということで、喜ばしく思っています。

羽生 日本の企業では今、出産育児休暇の問題にも関心が集まっています。

ポナゼッキ 多くの外国企業、日本にある外資系企業ではいわゆる女性の産休育休だけでなく、男性にも育休があります。これをもっと使うよう奨励する必要があります。たとえば私が働くオフィスの場合、アメリカ人の男性弁護士が育休を取った先例があったので、日本人の男性弁護士もきちんと休みを取り始めています。こんなふうに実践すること、特にトップの人が示すことによって、下の人も取りやすくなる。取ってもいいんだという理解が広まり、モラルが上がっていくのです。

 昼食講演会でメットライフのサシンさんから、「朝9時の定例ミーティングでは女性が保育園の関係で間に合わない」という話がありました。これは、男性がもっと保育園に子どもを預ける役割を果たして、多くの男性が9時では困るということになれば、スタートが9時半になるかもしれません。そういった意味で、男性の子育てへの参画をもっと求めていくべきです。