人事制度を充実させたら、離職率が28%→5%に

サイボウズ 青野さん

 サイボウズは従業員500人ほどのソフトウエアの会社です。新しい会社でエンジニアが多く、かつては徹夜するのも当たり前という労働環境でした。離職率も高く、2005年の離職率は28%。4人に1人が1年後には退職する会社でした。

 これではあまりに効率が悪いので、従業員と相談し、色々な人事制度を入れていきました。たとえば子どもができたときに、産休、育休を6年取れるようにして、戻ってきた後も時短で働ける制度。最近は在宅勤務の制度も導入したので、何かあれば家で働けます。台風が来れば誰も出社してきません。その成果として離職率がこの3年間は5%を切っています。女性社員の割合も増えて、いまは4割ほど。ソフトウエア企業としては非常に高いです。

 女性の活躍もめざしてきました。役員は10人中2人が女性で、うち1人が働くママさん。この4月の新入社員は6割が女性です。非常に効率のいい経営ができていると思います。

左から進行役のキャシー松井さん、青野さん、シャーさん
左から進行役のキャシー松井さん、青野さん、シャーさん

J&J デイビッド・R・スミスさん

 私達の会社では、女性が活躍するうえで男性は以前に比べて障害ではなくなっていると思います。ダイバーシティやインクルージョンの取り組みに関わる人も増えています。J&Jグループでは「Women's Leadership Initiative(WLI)」という活動を進めていますが、これは単に女性のリーダーを推進するだけでなく、もっと幅広いダイバーシティ、インクルージョンの話題を扱っています。

 たとえばWLIでは毎年大規模な研修イベントを主催していて、テーマも多岐にわたります。昨年は約300人が参加し、45%近くが男性でした。これは社内の男女のリーダーがダイバーシティ&インクルージョンに関わる重要な問題について話し合うすばらしい機会になっています。

メットライフ生命 サシン・N・シャーさん

 私達は、男性社員の意識をどうやって変えるかということをずっと考えてきました。顧客の50%は女性であって、特に医療保険や生命保険は女性が多い。さらに、男性が何かを判断するときに女性は大きな影響力を持っています。その話を男性社員にしたところ、そうですねとうなずく一方で、営業職の女性の割合が8%しかないことは「問題ではない」と言うのです。そこでチームを設立してマーケットセグメントを調査した結果、女性のセグメントには浸透できていないことがわかった。時間をかけて話し合い、「問題がある」ということをチームの全員に理解してもらいました。

 一方、私は女性社員に対し、女性を営業職に登用するために何が必要か聞いてみました。すると、営業店での朝礼が9時にあるが、保育園に子どもを預けてからだと間に合わない、9時半にしてもらえないかと言われたのです。「それだけでいいんですか」と聞くと、「いいんです。それだけですごくストレスがなくなります」と。他にも子どもが病気になったとき、男性社員は家で妻が面倒を見てくれるが、女性社員が会社を休んで面倒を見ると悪い評価がつくのは不公平なシステム。それについて何か解決策を取ってくれないかと言われました。

 実際の解決策は、思っていたよりも簡単です。小さなステップを積み重ねることで大きなことができるということを理解してほしいです。

 次ページでは、組織のトップとして、またダイバーシティのロールモデルとして自身が行っていることについて、櫻田さんと青野さんのお話を紹介します。